概要情報
事件名 |
昭和運輸 |
事件番号 |
北海道地労委 昭和56年(不)第36号
北海道地労委 昭和57年(不)第30号
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申立人 |
全日本運輸一般函館合同労働組合 |
被申立人 |
有限会社 昭和運輸 |
命令年月日 |
昭和59年 9月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
運転手としての適格を欠くこと等を理由として組合員X1を解雇したこと、社長に対する暴力行為等を理由として組合員X2を解雇したこと、上司に対する反抗的言辞等を理由として支部長を出勤停止処分に付したこと、作業態度を理由として組合員3名を長距離運送業務から外し、運行手当の付かない運送業務に従事させたこと、係長及び社長の義弟が組合に対抗する組織として「昭和会」を結成したこと及び掲示板を「昭和会」に対しては貸与しておきながら、組合に対しては貸与を拒否したことが争われた事件で、原職復帰及びバックペイ、出勤停止処分の取り消し及びバックペイ、運行手当の差額の支払い、解雇及び出勤停止処分等による支配介入の禁止並びにポスト・ノーティスを命じ、解雇及び出勤停止処分に関する団交応諾を求める申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X2に対してなした昭和56年6月16日付け解雇及び同X1に対してなした昭和57年7月21日付け解雇をそれぞれ取り消し、原職に復帰させるとともに、その間、同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X3に対してなした昭和57年8月14日付け2週間の出勤停止処分を取り消し、その間、同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、昭和56年8月分以降の運転手当について、昭和会会員の大型車運転手を「担当車」と「フリー」とに区分したそれぞれの各月の平均支給額と申立人組合員X4、同X5を「担当車」として、また、同X6、同X3及び同X1を「フリー」として区分した同人らの当該各月の支給額との差額を支払わなければならない。 4 被申立人は、(1)申立人組合員X2、同X1を解雇したり、(2)申立人組合のX3支部長を出勤停止処分にしたり、(3)申立人組合員の大型車運転手と昭和会会員の大型車運転手を長距離運送業務の割当てにおいて差別したり、(4)組合員に対する脱退工作や組合に対する誹謗中傷を行ったりなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 5 被申立人は、下記内容の陳謝文を縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に楷書で墨書し、会社の正面入口の見易い場所に命令交付の日から7日以内に10日間掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 会社が貴組合を嫌悪して、組合員X2及び同X1を解雇したこと、貴組合のX3支部長を出勤停止処分にしたこと、組合員を昭和会会員と差別して運行手当が低額になるような業務に従事させたこと及び組合に対する脱退工作を行ったことなどは、北海道地方労働委員会において、不当労働行為であると認定されました。 ここに深く陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 (掲示の初日を記載すること) 全日本運輸一般函館合同労働組合 執行委員長 X7 殿 有限会社 昭 和 運 輸 代表取締役 Y1 6 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
交通事故が他の従業員と比べ、異常に多く、運転手としての適格を欠いていること等を理由として、組合員X1を解雇したことが不当労働行為であるとされた例。
0600 暴力行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
社長に対する暴力行為等を理由として組合員X2を解雇したことが不当労働行為であるとされた例。。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
牧場での作業態度を理由として組合員3名を大型車での長距離運送業務から外し、運行手当の付かない運送業務に従事させたことが不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
上司に対し反抗的言辞をなしたこと等を理由として支部長を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
2501 親睦団体の利用
2610 職制上の地位にある者の言動
3422 その他の者の言動
係長及び社長の義弟が組合に対抗する組織として「昭和会」を結成したことが不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
掲示板を親睦会に対しては貸与しておきながら、組合に対しては貸与を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
支部長ら3名に対する解雇及び出勤停止処分については、命令主文で救済していることから、同問題に関する団交応諾を改めて命ずる必要はないとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集281頁 |
評釈等情報 |
 
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