概要情報
事件名 |
銭高組 |
事件番号 |
愛知地労委 昭和54年(不)第2号
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申立人 |
全日自労建設一般労働組合 |
被申立人 |
株式会社 銭高組 |
被申立人 |
株式会社 銭高組名古屋支店 |
命令年月日 |
昭和56年10月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が昭和53年年末一時金に関する団体交渉において、開催期日、回答日時及び回答方法について別組合と差別し、誠意ある団交を行わなかったこと及び組合員X1に対する賃金差別が争われた事件で、団交の開催期日、回答日時及び回答方法についての別組合との差別の禁止及びこれに関する文書手交並びに組合員X1の昭和53年度本給を定期入社標準者の本給に是正すること及び是正に伴う本給、時間外手当及び一時金の差額支給を命じ、ポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人株式会社銭高組及び同名古屋支店は、全日自労建設一般労働組合銭高組名古屋支 部との団体交渉に関し、開催期日並びに回答の日時及びその方法について、申立外銭高組労 働組合との間に差別的取扱いを行ってはならない。 2 被申立人株式会社銭高組及び同名古屋支店は、申立人全日自労建設一般労働組合に対し、 下記文書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。 3 被申立人株式会社銭高組は、X1の昭和53年度本給を昭和53年2月21日付で定期入社標準者(男子・33歳)の本給179,900円に是正し、同人に対し是正に伴って支払うべき本給、時間外手当及び一時金と支払済の本給、時間外手当及び一時金との差額を速やかに支払わなければならない。 4 申立人のその余の申立ては、棄却する。 記 昭和 年 月 日 全日自労建設一般労働組合 中央執行委員長 X1 殿 株式会社銭高組 取締役社長 Y1 株式会社銭高組名古屋支店 取締役支店長 Y2 株式会社銭高組及び同名古屋支店が、昭和53年年末一時金に関する団体交渉の開催期日並 びに回答の日時及びその方法について、銭高組労働組合を全日自労建設一般労働組合銭高組 名古屋支部より優先し差別した行為は、不当労働行為であると愛知県地方労働委員会におい て認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
昭和53年年末一時金について別組合より支給が遅延したことにつき、その遅れの一因が組合要求の傭員問題の妥結の遅れにもあるとして、差別扱いではないとされた例。
1202 考課査定による差別
組合員X1の本給を協定による定期入社標準者に係る本給の考課幅の最下限より低く支給したことが、同人の組合活動を索制する意図のもとに行われた不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
2901 組合無視
別組合とは要求どおりの期日に3回も団交に応じていながら、支部とは別組合との団交で一応の目途が立つまで一度の団交にも応じなかったこと、別組合には団交の席において正式に回答しながら支部には電話での回答で済ませたことにつき、正当な理由がなく、別組合と差別することによって当該支部の弱体化を企図した支配介入にあたるとした例。
4821 合同労組
合同労組はその所属組合員の使用者を相手として組合独自の申立てをすることは許されるものであり、申立人適格を有するとされた例。
4821 合同労組
不利益取扱いが組合員個人に係るものであっても、組合運営に対する支配介入という観点からは組合の団結権を侵害する行為になることから、組合は申立人適格を有するとされた例。
4905 経営補助者
会社の支店は、従来から組合との団交に応じてきており、また、傭員の労働条件に関し裁量権を有することがうかがえることなどから、労務管理上の固有権限について被申立人適格を有するとされた例。
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
団交等に関して別組合との差別禁止を求める救済請求の内容が、抽象的不作為命令を求めるもので、しかもこれは別組合との間に絶対的な平等扱いを求めるものであることからこの申立ては許されないとの会社主張について、申立ての全趣旨からみて不作為の内容及び申立人の救済内容を推知でき、また申立人が組合間における会社の不合理な差別是正を求めていると解されるとして、これを斥けた例。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集366頁 |
評釈等情報 |
 
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