労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  銭高組 
事件番号  東京高裁平成 2年(行コ)第78号 
控訴人  株式会社 銭高組(80号) 
控訴人  株式会社 銭高組名古屋支店(80号) 
控訴人  中央労働委員会(78号) 
被控訴人  株式会社 銭高組(78号) 
被控訴人  中央労働委員会(80号) 
被控訴人参加人  全日自労建設一般労働組合(80号) 
判決年月日  平成 5年 9月29日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社及びその名古屋支店が、(1)53年年末一時金に係る団体交渉の開催期日、回答等について、別組合と差別したこと、(2)53年度における組合員X1の賃金考課について、低く査定したこと等が不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審愛知地労委は、(1)団体交渉に関する差別取扱いの禁止、(2)X1の賃金是正及び差額の支払、(3)文書手交を命じたが、これを不服として、会社側から再審査の申立てがなされ、中労委は初審命令のうち、団体交渉に関し差別取扱いを禁じた点を不誠実な対応をしてはならない旨に変更し、その余の部分については、初審命令を維持したところ会社側は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、(1)名古屋支店の訴えを却下する、(2)X1の賃金是正及び差額の支払を命じた部分を取り消す、(3)その余の会社の請求(不誠実団体交渉を認定した部分の取消しを求める点)を棄却したため、中労委及び会社側がさらに東京高裁に控訴したところ、同高裁は、中労委及び会社側の控訴を「控訴には理由がない」として、それぞれ棄却した。 
判決主文  第一審原告両名及び第一審被告の本件各控訴をいずれも棄却する。各控訴費用及び補助参加の費用はいずれも各自の自弁とする。 
判決の要旨  6150 当事者能力・当事者適格
形式的に取消訴訟の当事者能力に例外を認めて会社支店の訴えを適法とすることの意味はないとして、会社支店の訴えを却下した原判決が正当とされた例。

2249 その他使用者の態度
組合から救済申立てがなされた後の団交実績は誠実性の判断において重視できないとして、組合に対する対応が不誠実であったとして不当労働行為の成立を認める原判決が維持された例。

5201 継続する行為
6310 違法判断の基準時
差別的な取扱により現に不利益を受けている限り、直接の原因となった行為が一年以上前のものであっても労組法27条2項の制限を受けないとの労委の主張が斥けられ、考課査定による賃金上の差別的な取扱いについては、その査定に基づく賃金の最後の支払いまでで不当労働行為は終了し、それから一年を経過したときは申立てができないと解するのが相当とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
賃金体系等に基づいて従業員の賃金が決定されてきたこと等信用するに足るとして、X1の賃金差別についての労委の主張が斥けられ、これを不当労働行為に該当しないとした原判決が維持された例。

業種・規模  建設業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集28集241頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
愛知地労委昭和54年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和56年10月20日 決定 
中労委昭和56年(不再)第74号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和60年 6月 5日 決定 
東京地裁昭和60年(行ウ)第114号 救済命令の一部取消し  平成 2年 5月31日 判決 
東京地裁昭和61年(行ク)第21号 一部認容  平成 2年 5月31日 決定