概要情報
事件名 |
甲府生コンクリート |
事件番号 |
中労委 昭和53年(不再)第49号
|
再審査申立人 |
甲府生コンクリート 株式会社 |
再審査被申立人 |
甲府生コンクリート株式会社労働組合 |
命令年月日 |
昭和55年 5月 7日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
|
事件概要 |
団交ルール未確立を理由とした団交拒否、一時金に関する不誠意団交及び一方的支給、組合旗の一方的撤去、腕章着用禁止の通告、組合脱退を慫慂したことなどが争われた事件で、団交ルール未確立を理由とした団交拒否の禁止及び支配介入の禁止を命じ、非組合員による組合脱退慫慂の言動及びポスト・ノーティスについての申立てを棄却した初審命令中、主文第1項の表現が抽象的であるとして、これを変更し、組合旗の撤去に関する部分を取り消した。 |
命令主文 |
1. 本件初審命令主文第1項を次のとおり変更する。 被申立人は、申立人が昭和51年12月18日、同月21日及び同月22日申し 入れた年末一時金に関する各団体交渉を、被申立人が提案した団体交渉ルールに申立人が同意しないことを理由に拒否してはならず、かつ、申立人からの団体交渉の申し入れを上記と同一の理由により拒否してはならない。 2. 本件初審命令主文第2項(2)中「組合旗の撤去、」を削り、「腕章の着用禁止など」を「腕章の着用を禁止すること」に改める。 3. その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3020 組合活動への制約
無断でなされた組合旗掲揚に対して、会社は自主的に撤去を求め、撤去を予告した約半月後にこれを撤去し組合に返還したもので、しかも、その後の組合による再掲揚に対して、会社は警告にとどめ、組合が長期間にわたり掲揚している本件の場合、組合活動を抑圧することを意図しての措置とは認め難く、これを支配介入とした初審命令は取消しを免れない。
0210 リボン・ワッペン等の着用
就業時間中の腕章着用につき、それによる具体的な職場秩序紊乱等も認められなく、正当な組合活動とされた例。
2244 特定条件の固執
団交拒否理由である団交ルールの確立は、会社の一方的な提案であり、それなくしては団交がなしえないとする合理的理由がないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長及び課長らによる組合脱退慫慂の言動が支配介入とした初審判断が相当とされた例。
2700 威嚇・暴力行為
組合の腕章着用行為に対して執ように警告を行ったことが、組合活動に対する支配介入であるとした初審判断が相当とされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
年末一時金に関して、誠意ある団交を尽くさないまま一方的に支給したことが支配介入とした初審判断が相当とされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
円満な団交によって正常な労使関係が成立しているとみられない本件において、将来にわたる団交を命ずる被救済利益があるとされた例。
4505 その他
団交ルールが確立していないことを理由に団交拒否したことが不当労働行為とした初審判断は相当であるが、初審命令主文第1項の表現が抽象的であるとして変更された例。
|
業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集687頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 昭和55年8月10日 653号 30頁 
|