概要情報
事件名 |
日本シェーリング |
事件番号 |
中労委 昭和51年(不再)第77号
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再審査申立人 |
日本シェーリング 株式会社 |
再審査被申立人 |
総評化学一般日本シェーリング労働組合 |
命令年月日 |
昭和53年 3月15日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
スト中に社内放送で、組合の争議戦術を非難したこと、ピケをめぐる紛議の際、暴行・傷害行為があったとして、組合役員2名を降格処分に付したこと、経理内容説明会を直接従業員に対して行ったことが問題となった事件で、降格処分がなかったものとして取り扱うこと及びポスト・ノーティスを命じた初審命令中、ポスト・ノーティスを文書手交に変更するとともに文言の一部を変更しその余の再審査申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第2項を次のとおり変更する。 再審査申立人は、下記内容の誓約書をこの命令書交付の日から1週間以内に再審査被申立人に手交しなければならない。 記 誓 約 書 当社の下記の行為は、行為当時の労使関係からみて労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると中央労働委員会により認定されました。よって、今後このような行為を繰返さないことを誓約いたします。 記 1 昭和48年2月16日に行った社内放送において、「組合のストライキが続けば近い将来会社の破滅の日が来ることは明らかである」旨及び「親会社であるドイツ・シェーリング社はストライキの影響を避けるために他社に生産、販売を任せたりすることが考えられる」旨の発言をしたこと。 2 昭和48年4月24日から同月26日にかけて行った経理内容説明会。 昭和 年 月 日 日本シェーリング株式会社 代表取締役 Y1 総評化学一般日本シェーリング労働組合 執行委員長 X1 殿 2 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
本件社内放送の中には、組合のストが続けば近い将来会社の破滅の日が来ることは明らかであると述べるとともに、親会社は、ストの影響を避けるために他社に生産、販売を任せたりすることが考えられると述べている部分があり、しかも、就業時間中に全従業員を対象として行われているところからみて、この部分についての会社の真意は全従業員に対し、会社の将来について不安を与えることによって、スト中の組合員を孤立させることにあったものと認めざるを得ない。
0414 ピケッティング
0416 暴力の行使等
暴力を伴うピケッティングは、労働組合の正当な行為の範囲を逸脱するものであるとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
ピケッティングにおいて、職制に暴行を加えたこと及び組合員が職制らに暴行を加えたことにつきこれを煽動、指揮したこと等を理由に、執行委員長及び書記長を降格処分にしたことが、本件以後のピケッティングにおいては何らトラブルが生じていないこと及び降格処分が本件争議後から1年10ヶ月も経過後になされたこと等を考えると不当労働行為にあたるとされた例。
2901 組合無視
経理内容について、本来団体交渉で説明すべき事項を、団交を拒否し、直接組合員である従業員に説明したことが不当労働行為とされた例。
5124 その他の審査手続
補佐人の許可及び許可の取消しは、審査委員の裁量に属するとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集63集529頁 |
評釈等情報 |
労働判例 298号 81頁 
労働経済判例速報 昭和53年6月30日 983号(29巻17号) 16頁 
中央労働時報 1978年8月10日 620号 33頁 
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