概要情報
事件名 |
オリエンタルモーター |
事件番号 |
千葉地労委昭和50年(不)第3号
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申立人 |
総評全国金属労働組合千葉地方本部オリエンタル支部 |
被申立人 |
オリエンタルモーター 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年 1月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
就業時間中の組合活動問題や人事同意約款問題、組合事務所貸与問題の団交を拒否したこと、従業員に対して組合加入状況を調査したこと、組合備品を無断撤去したこと、組合集会のための食堂の使用を禁止したこと、組合旗を撤去したこと、新入社員教育で組合を誹謗した等の事件で、誠意団交、組合事務所の貸与、組合加入状況調査の禁止及び陳謝文の掲示を命じ、その余については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、就業時間中の組合活動の範囲の件及び人事異動に関する事前協議約款又は同意約款の締結の件を交渉事項とする申立人組合の団体交渉申入れに対し、誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、豊四季事務所第2事務棟地下2階の一部(別紙図面の斜線部分)を組合事務所として速やかに申立人組合に貸与しなければならない。貸与の条件は、昭和50年6月下旬に申立人組合が記名調印して被申立人会社に渡した組合事務所貸与協定書によるものとする。 3 被申立人会社は、申立人組合の組合員に対し、申立人組合加入状況の調査をして、申立人組合の運営に介入してはならない。 4 被申立人会社は、申立人組合が支部大会及び分会大会開催のため、会場使用許可願を提出して豊四季事務所の食堂の使用を申し入れた時は、被申立人会社が使用する等特段の事情がある場合を除いて、その使用を拒否してはならない。 支部大会及び分大会以外の申立人組合の会議又は集会のために豊四季事務所の食堂の使用を許可する範囲について申立人組合から団体交渉の申入れがあった場合には、被申立人会社は、誠意を持って応じなければならない。 5 被申立人会社は、本命令書の交付を受けた後、直ちに下記の陳謝文を縦 1.5メートル、横1メートルの白い木板いっぱいに楷書でわかりやすく墨書して、被申立人会社豊四季事務所の正門わきの従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。 陳 謝 文 当会社は、貴組合に対し、 1 従業員に照会票を配布して、貴組合の組合員か否かを調査したこと。 2 組合備品を撤去したこと。 3 貴組合の分会大会等の各種集会を妨害したこと。 4 貴組合の組合規約又は組合員名簿が提出されないことを理由として、団体交渉を拒否したこと。 5 組合旗を撤去したこと。 6 総評全国金属労働組合千葉地方本部統一交渉団の入構を拒否したこと。 7 新入社員教育において、貴組合を誹謗したこと。 8 貴組合と昭和50年年末一時金、昭和51年賃上げ及び同年夏季一時金の交渉中に、従業員に受領書を配布し、署名押印を求めたこと。 9 貴組合の組合員に対し、脱退を強要したこと。 が労働組合法第7条第2号又は第3号に該当する不当労働行為であると千葉県地方労働委員会において認定されました。当会社はこのような不当労働行為を行ったことについて、貴組合及び組合員に対し、深く陳謝します。 昭和 年 月 日 オリエンタルモーター株式会社 代表取締役 Y1 総評全国金属労働組合千葉地方本部 オリエンタル支部 執行委員長 X1 殿 (注、年月日は、陳謝文の掲示を始めた日を記入すること。) 6 申立人組合のその余の申立は棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
非常勤顧問の高卒新入社員教育の講義中の組合問題に対する発言は到底公正なものと言えず、組合問題について経験も知識も比較的少いと推測される高卒の新入社員に対する発言は、参加を義務づけられた会社の社員研修の中で行われたということと考え合わせると新入社員に対し、相当強烈な先入観を与えるものであることは否定できない。
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
組合事務所設置についての団交応諾を組合は求めるが、審問の全過程を総合すれば組合は既に完成している30平方メートルの組合事務所の貸与を求めていると解されるので、その救済方法としては、会社がこれを貸与することを渋った原因の一つとみられる組合の覚書を、組合が撤回の意向を示し、かつ、会社もこれを認めているので、先に記名調印した貸与条件に基づき、30平方メートルの組合事務所を組合に暫定的に使用させるのが相当であると考える。
2247 解決済
就業時間中の組合活動の範囲の件を交渉事項とする団体交渉について、会社が協定が成立していると単に文書回答するのみで、十分に話合われたことは認められないことなどから、正当な理由のない団交拒否とされた例。
2244 特定条件の固執
当初の約束を反古にして、組合結成通告当初の団交当時から狭すぎると難色を示していたプレハブ建物を組合事務所として貸与させる案を押しつけている会社の態度が正当な理由のない団交拒否とされた例。
2249 その他使用者の態度
人事異動の協議約款又は同意約款締結に関する団交申入れに対しても締結の意思なしとして文書で回答するのみで、組合を説得せず、一方的に団交に応じないとする態度に終始したことは、正当な理由のない団交拒否といわざるを得ないとされた例。
2210 組合員名簿・組合規約不提出
会社が組合規約の提出がなかったことを理由として団交に応じなかったことが、組合の手落ちにつけこんで団交を拒否する口実に利用したもので正当な理由とはならないとされた例。
2210 組合員名簿・組合規約不提出
組合員名簿の提出を求めるについて合理的理由を見出せない以上、その提出がないことを理由として団交に応じないことは正当な理由がないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社が職制をして組合員の脱退勧奨を行わせ、組合員を、激減させたことが支配介入とされた例。
3020 組合活動への制約
組合事務所が貸与されるまでの暫定措置として、食堂の一角においた組合備品を会社が撤去したことが支配介入とされた例。
3020 組合活動への制約
3100 スパイ
組合集会のための食堂使用不許可集会の妨害行為が施設管理権に名を籍りた支配介入であるとされた例。
3020 組合活動への制約
紛争中の労使関係のもとにおいては、組合旗の掲揚の継続は会社の忍受すべき正当な範囲内の組合活動であり、会社が敢えへ組合旗を撤去する挙に出たことは、会社の団交拒否等の行為と総合すれば、支配介入にあたるとされた例。
3020 組合活動への制約
「労使間懸案事項」を交渉事項とする団交に際し、地本統一交渉団の入構を拒否したことが支配介入とされた例。
2622 組合員調査
36協定締結のため、労基署の指導と称して照会票を全従業員に配布して組合加入調査を行ったことが支配介入とされた例。
2249 その他使用者の態度
2901 組合無視
年末一時金につき、会社案に同意する従業員の受領書の署名を集めたことが支配介入とされた例。
3422 その他の者の言動
非常勤顧問である者の組合問題に対する発言は会社の意を体し、会社のためになされたものであるから、会社に帰責されるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
組合集会のための食堂使用不許可の救済として、組合事務所で間に合う小人数の会合を除き、組合が必要とする会議については食堂使用を許可する範囲を団交で決定するのが適当とされた例。
5124 その他の審査手続
救済申立書と準備書面では、50年年末一時金及び51年夏季一時金の団交中に会社が受領書を配布した行為の救済を明確に整理した形で求めているわけではないが、審査の全過程を総合して組合の意思を推測すれば、不当労働行為として救済を求めていると解されるとされた例。
5121 挙証・採証
救済を求める「謝罪文」に掲記すべき内容の一部について、組合は疎明をしていないとして棄却された例。
5200 除斥期間
T事務所の組合員18名全員の組合脱退につき、事情をきくべく同事務所の同組合員に面会方を求めたところ、所長が拒否したことについての陳謝を求める救済申立ては行為の日から申立日までに1年以上経過しているとして、規則34条3号によりこの点については判断しないとされた例。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集63集55頁 |
評釈等情報 |
 
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