労働委員会関係裁判例データベース

(こ の事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[判例一覧に戻る]  [顛末情報]

概要情報
事件名  オリエンタルモーター 
事件番号  東京高裁平成 2年(行コ)第26号・第28号 
控訴人  オリエンタルモーター 株式会社(26号事件) 
控訴人  中央労働委員会(28号事件) 
被控訴人  オリエンタルモーター 株式会社(28号事件) 
被控訴人  中央労働組合(26号事件) 
被控訴人参加人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部オリエンタルモーター支部 (26号事件) 
判決年月日  平成 2年11月21日 
判決区分  一審判決の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)就業時間内の組合活動の範囲、人事異動及び 組合事務所貸与に関する団体交渉を拒否したこと、(2)食堂内の組合備品を無断で撤去したこと、(3)組合の集会等に食堂の 使用を認めなかったこと、(4)組合員に対し、組合加入状況を調査したこと、(5)事業所正門に掲げた組合旗を撤去したこ と、(6)上部団体からの団体交渉申入れに対し、入構を拒否し、応じなかったこと、(7)新入社員教育において組合を誹謗し たこと、(8)50年年末一時金、51年賃上げ及び同年夏期一時金の交渉中に一時金等の受領に関する念書を配布し、署名押印 を求めたこと、(9)組合員に対し、組合からの脱退を強要したこと、(10)組合規約、組合員名簿の提出を強要したこと、 (11)労働時間等に関する団体交渉を拒否したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審千葉地労委は、労 働時間等に関する団体交渉を除き、いずれも不当労働行為であるとして、会社に対し、誠意ある団体交渉の実施、組合事務所の貸 与、組合加入状況調査による支配介入の禁止、食堂使用拒否の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、中労委も初審命令主文のう ち、組合備品の撤去、組合旗の撤去、上部団体の入構拒否、組合規約及び組合員名簿の提出を強要したことに関してポスト・ノー ティスを命じた部分を変更したほかは、初審命令を維持し、これを不服として、会社が行政訴訟を提起したところ、東京地裁は、 平成2年2月21日、中労委の命令中、組合事務所の貸与、組合加入状況調査による支配介入の禁止及び食堂の使用拒否の禁止並 びにポスト・ノーティス中の新入社員教育における組合誹謗、組合加入状況調査を行ったこと、51年賃上げ交渉中に従業員に受 領書を配布し、署名押印を求めたこと及び組合員に対し組合脱退を強要したことに関する部分を取り消し、その余の会社の請求を 棄却し、さらに、これを不服として、会社及び中労委が控訴を提起したところ、東京高裁は、会社の控訴を棄却し、中労委の控訴 については、中労委の命令中、東京地裁が組合加入状況調査による支配介入の禁止及び食堂使用拒否並びにポスト・ノーティス中 の組合加入状況調査を行ったことに関して取り消した部分を取り消し、その余の中労委の控訴は棄却した。 
判決主文  A 26号事件について。
第一審原告の控訴を棄却する。
B 28号事件について。
1 1原判決主文1第1項のうち、本件中労委命令主文I第3及び4項を取り消した部分を取り消す。
  2原判決主文1第2項のうち、右命令主文I第5項(2) を取り消した部分を取り消す。
  3原判決主文1第4項のうち、右命令が右1及び2に関する第一審原告の再審査申立てを棄却した部分を取り消した部分を取 り消す。
  4第一審原告の右1ないし3に関する請求を棄却する。
2 第一審被告のその余の控訴を棄却する。
C 訴訟費用について。
訴訟費用及び参加費用は第一、二審を通じて二分し、その1を第一審査原告の負担とし、その余を第一審被告及び補助参加人の負 担とする。
D 原判決主文1第1ないし3項の「主文」を「主文I」に更正する。
判決の要旨  2240 説明・説得の程度
就業時間中の組合活動の範囲に関する団体交渉拒否についての判断は、次のとおり加えるほか、原判決を引用する。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
使用者の許諾しない就業時間中の組合活動は、原則として許されないが、労使間で別段の合意をし、組合活動の趣旨にそった運用 を妨げるものではない。

5008 その他
使用者の許諾しない就業時間中の組合活動は、原則として許されないが、労使間で別段の合意をし、組合活動の趣旨にそった運用 を妨げるものではないから、このことについて、団交に応じない会社に団交を命じることは矛盾するものではない。

3020 組合活動への制約
組合集会等のための食堂使用についての判断は、次のとおり加えるほか、原判決を引用する。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合事務所が貸与されていない現状において、食堂の使用を一切拒否し続けるならば、組合の組合活動を著しく困難にすることが 明らかであり、これを一切拒否するという会社の対応は、組合運営に対する支配介入に当たる。

4602 組合との協議を命じた例
食堂の使用許可の範囲については、明確な協定が成立していないことが明らかであるから、この点について、さらに団交を尽くさ せる必要があるべきであり、このことについて協議を命じた本件命令は相当である。

2622 組合員調査
36協定の締結当事者としての適格性を有しているか否かについては、組合加入の有無について無記名秘密投票の形式により調査 すれば判明することであり、この方式をとることなく記名式の調査票を交付したことは、支配介入に当たる。

2240 説明・説得の程度
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
本件組合事務所貸与問題についての判断は、原判決を引用する。

2611 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社の非常勤顧問の新入社員教育における組合誹謗についての判断は、原判決を引用する。

2622 組合員調査
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
一時金の念書及び受領書の配付についての判断は、原判決を引用する。

2621 個別的示唆・説得・非難等
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合脱退工作についての判断は、原判決を引用する。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
Y1取締役がX1組合員に対して、組合活動を続けるなら仲人を断ると発言したことは、Y1の個人的行為であるから、会社の組 合に対する不当労働行為とはならないので、これを組合に対する支配介入としてポストノーテスを命じた部分は違法であるから、 取り消されるべきである。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集25集633頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 41巻6号  971頁 
判例タイムズ  757号  194頁 
労働判例  583号 27頁 
季刊労働法  162号  172頁 

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
千葉地労委昭和50年(不)第3号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和53年 1月13日 決定 
中労委昭和53年(不再)第4号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和62年 5月20日 決定 
東京地裁昭和62年(行ウ)第108号 救済命令の一部取消し  平成 2年 2月21日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第34号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 9月 8日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第35号 上告の棄却  平成 7年 9月 8日 判決 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約118KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダ ウンロードが必要です。