労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  オリエンタルモーター 
事件番号  最高裁平成 3年(行ツ)第35号 
上告人  中央労働委員会 
上告人参加人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部 
被上告人  オリエンタルモーター 株式会社 
判決年月日  平成 7年 9月 8日 
判決区分  上告の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)就業時間中の組合活動の範囲、人事異動及び組合事務所貸与に関する団交を拒否したこと、(2)組合集会等に食堂使用を認めないこと、(3)36協定締結当事者確認のために、組合加入状況の調査をしたこと、(4)昭和50年末一時金、同51年賃上げ及び同年夏期一時金の交渉中、一時金等の受領に関する念書等を社員に配布し、署名押印を求めたこと、(5)会社顧問が、新入社員教育において組合を誹謗する発言をしたこと、(6)取締役が、組合員に組合からの脱退を強要したこと等が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 初審千葉地労委(53・1・13決定)は、申立ての一部を除きいずれも不当労働行為であるとして、(1)右記(1)に関する誠意団交、(2)組合事務所の貸与、(3)組合加入状況調査による支配介入の禁止、(4)食堂使用拒否の禁止、(5)右記(1)ないし(6)等に関するポスト・ノーティスを命じたところ、これを不服として会社から再審査申立てがなされ、中労委(62・8・6決定)は、初審命令主文のうち、右記(1)の組合事務所の貸与を命じたこと、(4)のポスト・ノーティスを命じた部分の一部を取り消し変更したほかは初審命令を維持して会社の再審査申立てを棄却した。
 これに対し、会社が行政訴訟を提起し、東京地裁は、平成2年2月21日、中労委命令中の右記(2)ないし(4)及びポスト・ノーティス中の組合加入状況調査、新入社員教育での会社顧問による組合誹謗発言、昭和51年賃上げ交渉中の念書の配布、取締役による組合員の脱退強要に関する部分を取り消し、その余の請求を棄却した。
 これに対し、会社及び中労委は、それぞれ控訴した。東京高裁は、平成2年11月21日、会社の控訴を棄却したが、中労委の控訴については、中労委の命令中、東京地裁が組合加入状況調査による支配介入の禁止及び食堂使用拒否の禁止並びにポスト・ノーティス中の組合加入状況調査を行ったことに関して取り消した部分を取り消し、その余の控訴を棄却した。
 これに対し、会社及び中労委は、それぞれ上告したが、最高裁は、平成7年9月8日、中労委の上告を棄却した。 
判決主文  本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。 
判決の要旨  2252 署名・調印拒否
会社が組合に組合事務所を貸与しなかったことが、支配介入に当たるとはいえず、合意のない覚書を組合が添付していたため組合事務所貸与協定に調印しなかったという団交の経過によれば、会社の組合に対する対応が正当な理由のない団交拒否に当たるとはいえないから、本件命令中組合事務所貸与を命じた部分を取り消した原審の認定判断は相当とされた例

6352 ポスト・ノーティス、文書交付命令
新入社員教育の講義中において非常勤講師であるZ1が組合を批判する言動をしたとしても、それが直ちに会社の組合に対する支配介入に当たるということはできないから、これを不当労働行為であるとしてポスト・ノーティスを命じた本件命令を取り消した原審の認定判断は相当とされた例

6352 ポスト・ノーティス、文書交付命令
組合が会社の組合員名簿提出要求に応じていなかったため、非組合員にのみ支給する方法として受領書の配付をしたとしても、これが直ちに不当労働行為に当たるとはいえず、これを不当労働行為であるとしてポスト・ノーティスを命じた本件命令を取り消した原審の認定判断は相当とされた例

6352 ポスト・ノーティス、文書交付命令
Y1取締役が組合員X1に対して、組合活動を続けるなら仲人を断ると発言したことは、Y1の個人的行為であって会社の組合に対する不当労働行為には該当せず、これを組合に対する支配介入としてポスト・ノーティスを命じた本件命令を取り消した原審の認定判断は相当とされた例

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集30集408頁 
評釈等情報  労働判例  679号 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
千葉地労委昭和50年(不)第3号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和53年 1月13日 決定 
中労委昭和53年(不再)第4号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和62年 5月20日 決定 
東京地裁昭和62年(行ウ)第108号 救済命令の一部取消し  平成 2年 2月21日 判決 
東京高裁平成 2年(行コ)第26号・第28号 一審判決の一部取消し  平成 2年11月21日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第34号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 9月 8日 判決