労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中外電気工業 
事件番号  中労委昭和49年(不再)第47号 
再審査申立人  中外電気工業  株式会社 
再審査被申立人  総評全国金属労働組合富山地方本部 
命令年月日  昭和51年12月15日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社役員らが、組合執行委員長や地区労議長に上部団体脱退を示唆または依頼したこと、会社職制の朝礼における言動、スト中、作業場内で労働歌を合唱した組合員に就業規則の暗記を命じたこと、就業中の組合員を写真撮影したこと、団交時の賃金カットの取扱いについて別組合と差別したことをめぐる事件で、誓約書の手交と掲示を命じた初審命令のうち就業規則の暗記を命じたことについては支配介入とまではいえないとして、誓約書中当該部分を取消した。 
命令主文  1 初審命令主文第1項の誓約書中「X1に対し就業規則の暗記を命じ、また」を取消す。
2 その余の再審査申立を棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社部長の発言が、組合のストの直後に行われたこと、異例な長時間の朝礼において行われたこと、労働誓約書について入社時の提出を義務づけてあるのにこの時期にことさら提出を指示したこと、個人面接を行う旨述べたこと、ガードマンを導入する旨発言したことは、組合員を刺激し、動揺させることによって組合の弱体化をねらったものといわざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
春闘で労使が厳しく対立していた時期であること、組合委員長は他の執行委員長らには一切知らさず単独で会談に臨んでいること、会社取締役が初対面の組合委員長とことさら隣県において秘密裡に会談したことが認められる。会社取締役は生産が順調に進まない原因としてストによる影響があると認識していたこと、会談後、組合委員長が会社も得意先も上部団体を嫌っているとし、組合員を説得していること等からみて、組合支部が上部団体を脱退するよう示唆したものと判断せざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社総務部長が組合支部の上部団体からの脱退につき地区労議長に助勢を依頼し、工作資金も用意するので、上部団体の上部組織の了解をとりつけるよう地区労として働きかけてもらいたいと依頼したものと認めざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社部長が、スト中非組合員らが執務している作業場内で労働歌を合唱した女子組合員のリーダーX1に注意を与え、就業規則の暗記を命じたが、労働歌合唱は、現実に得意先との通話に支障をきたすなどの作業妨害を行ったものと認められ、行き過ぎのあったものといわざるをえない。会社部長のX1に対する注意は強く反省を求めたものであり、就業規則の暗記を命じたが、それ以上の追及もなく、組合に対する支配介入とはいえない。

3106 その他の行為
工場長が守衛に命じ、組合員の作業状態を写真撮影させたが、会社は組合員による違法サボタージュの証拠保全と主張するが、とうてい証拠保全のためとは考えられない撮影方法をとっており、組合のストに報復するがごとく会社の労務管理を厳しくし一連の組合員に対する嫌がらせ行為があったことが認められるのであるから、これも組合の弱体化をはかった不当労働行為である。

2901 組合無視
新労とは団交時の賃金カットを行わない旨の協約を結びながら、申立人組合に対しては締結を拒否したことは支配介入である。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集488頁 
評釈等情報  中央労働時報 1977年 4月10日  601号 35頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
富山地労委昭和48年(不)第5号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和49年10月 1日 決定 
東京地裁昭和52年(行ウ)第25号 請求の棄却  昭和55年 3月19日 判決