概要情報
事件名 |
福井鋳造 |
事件番号 |
福井地労委昭和47年(不)第7号
|
申立人 |
総評全国金属労働組合福井地方本部 |
被申立人 |
福井鋳造協業組合 |
被申立人 |
福井鋳造 株式会社 |
被申立人 |
株式会社 中防鉄工所 |
命令年月日 |
昭和49年12月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
企業閉鎖と、組合執行委員長の解雇、組合員に対する組合脱退強要などをめぐる事件で、企業閉鎖した会社に対して解雇取消しを、親会社に対して復職とバックペイを、また両者と、企業閉鎖会社が参加している協業組合に対して支配介入の禁止を命じ、協業組合への入社を求める申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人福井鋳造株式会社は、申立人の組合員であるX1の昭和47年10月31日付けの解雇を取消し、被申立人株式会社中防鉄工所は、同人を福井鋳造株式会社における解雇当時と同等の労働条件で復職させ、同人が解雇されなければ得たであろう諸給与相当額を支払わなければならない。 2 被申立人福井鋳造協業組合、同株式会社中防鉄工所および同福井鋳造株式会社は、申立人の組合員が福井鋳造協業組合に入社するに際し申立人からの脱退を強要するなど、申立人に対し支配介入してはならない。 3 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、累積赤字と従業員の突然の退職によりやむを得ず事業を閉鎖し、組合委員長X1を解雇したと主張するが、会社の代表取締役Y1の組合に対するたび重なる支配介入行為から会社が組合を排除しようとしたことは明らかであり、本件解雇は、Y1が他の従業員を一旦退職させて事業を閉鎖し、X1を企業外へ放逐せんとした不当労働行為である。
2621 個別的示唆・説得・非難等
3422 その他の者の言動
F社の代表取締役Y1は、協業組合の運営について限られた範囲であるがある程度の実質的権限を持っており、Y1がF社から協業組合に入社した組合員らに対し、申立人組合からの脱退勧奨し、同人らが組合を脱退したことは、Y1が協業組合のために行なった支配介入である。
4403 解雇後の事情と原職復帰
被解雇者X1に対する原状回復の措置について同人の解雇を取消せば、当然F社の従業員たる地位を回復するのであるが、F社が既に事業所を閉鎖して再開の見通しもないので、F社の親会社で、F社と実質的に同一性があると認められるN社に復職させるのが適当である。
4407 バックペイの支払い方法
被解雇者X1は、裁判所における仮処分の決定に基づき、賃金の仮払いを受けてはいるが、当該決定に関係なく労働委員会としても諸給与相当額の遡及支払を命ずることが適当である。
4916 企業に影響力を持つ者
協業組合は、被解雇者X1の使用者であったF社の従業員の雇用関係をそのまま引き継ぐものとは認められず、また、協業組合において強力な権限を有する員外理事Y1が協業組合の従業員採用に関し強力な権限を持っていたとか、同人以外の理事の権限が特に制限されたとの事実が認められない以上、協業組合はX1との間に「雇用関係の成立する可能性が現実かつ具体的に存する者」とはいえず、被申立人としての適格性を欠く。
|
業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集54集499頁 |
評釈等情報 |
 
|