労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  報知印刷 
事件番号  大阪地労委昭和46年(不)第42号-1 
申立人  X1 外45名 
申立人  報知印刷大阪労働組合 
申立人  日本新聞労働組合連合近畿地方連合会 
被申立人  報知印刷 株式会社 
命令年月日  昭和47年 7月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が賃上げについて、第一組合員を第二組合員などに比べて低く査定した事件で、再査定による賃上げ額の是正とその支払い、不利益取扱いに対する陳謝文の掲示などを命じた。 
命令主文  1. 被申立人は、別紙申立人組合員目録 (1)、(2) 記載の各申立人(ただし、X2を除く)に対して、昭和46年5月分から実施した賃上げにおける考課査定について、その考課指数の最低が 0.8以上、平均が1.14を下まわらないように再査定して各賃上げ額を是正し、かつ同月分以降の賃金(過勤料および一時金を含む)について、この再査定によって生じた差額相当額を支払わなければならない。なお、この再査定にあたっては、上記各申立人の従来の考課指数を同人らに不利益に変更してはならない。
2. 被申立人は、X2に対して、昭和46年5月分から実施した賃上げにおける考課査定について、その考課指数を1.25に修正して賃上げ額を是正し、かつ同月分以降の賃金(過勤料および一時金を含む)について、是正によって生じた差額相当額を支払わなければならない。
3. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して被申立人会社大阪支社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
               記
                     年  月  日
報知印刷大阪労働組合
 執行委員長 X3 殿
                報知印刷株式会社
                 代表取締役 Y1
 当社は、昭和46年 5月分から実施した賃上げにおいて、貴組合員を不当に低く考課査定し不利益な取扱いを行ないました。これは労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
4. 申立人らのその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
残業は強制にわたるものではないという会社と組合間の合意からみて、残業手当に多寡が生じるのは当然としても、賃上げの査定の対象にすることは合理性を欠き許されず、第一組合員の残業時間が第二組合員より少ない事実をもって本件査定を不当労働行為でないとはいえない。

1202 考課査定による差別
2901 組合無視
本件査定は、査定項目自体主観的判断に流れ易く、作業の共同性から客観的評価も困難な上に、会社と第一組合間の激しい対立からみて、公平かつ適正で合理的理由によるものとは認め難く、第一組合員を第二組合員等より全体として低く査定して不利益に取扱うとともに、組合弱体化を図った不当労働行為であると認められる。

4413 給与上の不利益の場合
集団的賃上げ査定の差別扱いの是正方法として、比較した一般従業員の平均を下回らないよう再査定を命ずることとし、かつ、再査定にあたって、不利益変更の禁止と最低考課指数を明示した例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集47集101頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和47年(不再)第50号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和48年12月 5日 決定 
大阪地労委昭和46年(不)第42号-2 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和49年 5月16日 決定