労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東邦交通 
事件番号  北海道地労委昭和46年(不)第1号 
北海道地労委昭和46年(不)第5号 
申立人  東邦交通労働組合 
被申立人  東邦交通 株式会社 
命令年月日  昭和47年 1月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、組合財政上の不正により、支部組合を除名された執行委員長をユ・シ協定を理由に解雇し、組合を脱退して新組合を結成した幹部らも同様に解雇し、解雇の威迫をもって組合脱退を牽制し、新組合からの団交やチェック・オフには応ぜず、新組合のストに対抗し、スト解除後も組合員の就労を長期拒否したことをめぐって争われた事件で、組合幹部の解雇取消し、バックペイ、新組合への支配介入の禁止を命じ、その他は棄却した。 
命令主文  1. 被申立人会社は、昭和45年10月10日付けをもって申立組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11およびX12ら12名に対して行なった解雇処分、昭和46年1月6日付けをもって同X13、X14およびX15ら3名に対して行なった解雇処分をいずれも取消し、これらの者を原職に復帰させ、原職復帰までの間受くべかりし給与相当額を支払わなくてはならない。
2. 被申立人会社は、申立組合の組合員に解雇の威迫をもって組合脱退を求めるなどして組合運営に支配介入してはならない。
3. 被申立人会社は、組合に対抗する争議行為によって申立組合の組合員の就労を長期にわたり拒絶するなどして組合の運営に支配介入してはならない。
4. 申立人組合のその他の請求は棄却する。 
判定の要旨  0207 統制違反の組合活動
1000 ユニオン・ショップ
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、支部の内部抗争が委員長除名へと発展していった経過を認識しており、また、支部から除名の事由や手続の説明も聴いているから、当事者双方から事情聴取をして除名の当否を判断しようとした事実がなかったとしても、ユ・シ協約上の債務の履行として被除名者の解雇措置をとったことはやむ得ない。

1000 ユニオン・ショップ
2111 唯一交渉団体条項
3701 他組合等との関係
会社は、新組合を結成した者の解雇をも支部とのユ・シ協定による債務の履行だとするが、新組合は合法に結成され、支部との協約の唯一交渉団体約款やユニオン・ショップ条項の効力は及ばないから本件解雇は、事実上の分裂によって生れた組合を結成の時点で壊滅させる意図によるものとするほかない。

2301 人事事項
2302 労務管理・労使関係
2306 便宜供与
会社は、団交事項に対し、解雇取消しの件は地裁で争う旨、協約・協定の締結の件は支部とのそれを適用する旨、チェック・オフの件は労金債務などの分割の点で両組織が固定化するまでまつ旨を明らかにしているのであるから、団交に応ぜず又は誠意がないとは断定できない。

1000 ユニオン・ショップ
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、支部脱退者に対し、ユニオン・ショップ条項により解雇する旨を通告したことは、客観的には組合を脱退して支部に戻らなければ解雇するとの会社の意思を明らかにしたものであるから、新組合の弱体化を意味し、支配介入である。

1401 労務の受領拒否
3102 争議対抗手段
使用者の対抗的争議は直ちに不当労働行為とはいえないが、86日の長期就労禁止を組合員の意思を拒否して継続したことは、組合員の生活基盤を奪い団結権を否定するもので、また就労拒否の解除にあたって労委への申立て取下げや支部との了解取付けを交換条件とすることは権衡を欠き、支配介入行為にあたる。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集46集104頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地裁昭和50年(行ク)第66号 一部認容  昭和51年 6月12日 
中労委昭和47年(不再)第10号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和50年 6月18日 決定 
中労委昭和47年(不再)第11号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和50年 6月18日 決定