概要情報
事件名 |
富士輸送機工業 |
事件番号 |
大阪地労委昭和44年(不)第25号
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申立人 |
富士輸送機工業労働組合 |
被申立人 |
富士輸送機工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年 3月 6日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
団交の席上における執行委員の暴言を理由にその後の団交を拒否し、賃上げ実施にあたって考課査定の組合員平均が会社平均よりも大幅に下回った事件で、全社平均を下回らない賃上げの実施及びポストノーティスを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1. 被申立人は、申立人組合員の昭和43年度賃上げについては、従業員の平均賃上げ額(3,900円) を下回らない額を支給しなければならない。 2. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの木板に、下記のとおり、明瞭に記載してすみやかに、大阪支店玄関附近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 富士輸送機工業労働組合 中央執行委員会 X1 殿 富士輸送機工業株式会社 取締役社長 Y1 当社は、貴組合に対し、昭和43年度賃上げについて、貴組合との団体交渉を拒否し、貴組合の組合員を差別扱いしたことは、不当労働行為であることを認め、陳謝します。 なお今後、いっさい組合員であるが故の差別扱いを行なわないことを誓約します。 以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3700 使用者の認識・嫌悪
賃上げの実施にあたって、申立人組合員全員が考課査定上低額となった理由として会社が主張する時間外労働拒否、就業期間中の組合活動等々は、いずれも合理性がなく、一方、会社はことごとに組合と対立し、労働委員会や裁判所で争っていることなどを勘案すると、組合を嫌悪した不利益扱いと認められる。
2230 不穏当な態度
団交の席上で、組合側委員が「ばか」と言ったことは、組合側としても反省すべきであるが、その発言は、口論になった際のものであり、その後口頭による陳謝も行なっているのであるから、謝罪文を出さなければ団交には応じられないとした会社の態度は失当である。
2307 その他
賃上げ額が妥結した後はそれをめぐる団交は行なわないという労使慣行があったとしても、そのことをもって直ちに、考課査定が低額であったことに関する団交拒否の正当な理由とはなしえない。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集110頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 5月 1日 98号 28頁 
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