労働委員会裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京地裁令和6年(行ウ)第378号
浪速建資産業外1社不当労働行為救済申立棄却命令取消請求事件  
原告  X組合(「組合」)
 
被告  国(処分行政庁 中央労働委員会(「中労委」)
 
被告補助参加人  Z1会社、Z2会社(併せて「会社ら」) 
判決年月日  令和8年3月26日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、①Z1会社が、平成30年5月11日付け団体交渉申入れ(「5.11申入れ」)に応じなかったこと、②Z2会社が、同年9月7日付け団体交渉申入れ(「9.7申入れ」)に応じなかったこと、③会社らが、同月19日付け団体交渉申入れ(「9.19申入れ」)に応じなかったことが、それぞれ労組法7条2号に、④Z1会社がA1組合員及びA2組合員(「本件組合員ら」)を懲戒解雇したこと(「本件各解雇」)が、会社らによる同法同条1号及び3号に、⑤Z2会社が、Z2会社の敷地内に所在した組合の組合事務所(「本件組合事務所」)の明渡しを通知し、閉鎖したことが、同法同条3号に当たるとして、救済申立てがあった事案である。

2 初審大阪府労働委員会は、上記1②ないし④について不当労働行為の成立を認め、(a)Z1会社に対し、上記1③について団交応諾を、(b)Z2会社に対し、上記1②および③について団交応諾を、(c)会社らに対し、上記1④について本件各解雇がなかったものとしての取扱い及び原職復帰を、(d)会社らに対し文書交付を命じ、その余の申立てを棄却したところ、組合及び会社らは、これを不服として、それぞれ再審査を申し立てた。

3 中労委は、初審命令について、上記1④についての救済部分を取り消すとともに、上記1②に関し、Z2会社の団交応諾、上記1③に関し、Z1会社の文書交付、上記1②および③に関し、Z2会社の文書交付を命ずるものに変更した。また、その余のZ1会社、Z2会社、組合の再審査申立てを棄却した。

4 会社らは、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、会社らの請求を棄却した。
 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は、補助参加人らによって生じた費用も含め、原告の負担とする。
 
判決の要旨  1 争点1(Z1会社が5.11団交申入れに応じなかったことは、労組法7条2号の団交拒否に当たるか)について
 組合は、C2会社及びC1会との間で協議を行い、平成28年4月20日付け確認書(「28.4.20確認書」)を作成した。同確認書においては組合員一人分の日々雇用の枠を確保する合意を含むものであった旨を主張し、そうである以上、これについての団体交渉は義務的団交事項であったにもかかわらず、会社らが5.11申入れに応じなかったことは労組法7条2号の正当な理由のない団交拒否として不当労働行為に該当すると主張する。

 しかしながら、28.4.20確認書の記載は、C2会社がZ1会社にミキサー車1か月当たり13回の出入り権を保障する一方で、Z1会社がA4組合員に対して日々雇用労働者として1か月当たり13日間の雇用保障をすることなどを内容とするものであって、飽くまで、A4(5.11申入れ以前の平成30年4月30日付けで組合を脱退。)という個別の労働者に限っての就労に関する権利を保障したものと読むのが相当であり、これを超えて、Z1会社が組合の組合員一人分の日々雇用の枠を確保する趣旨まで含むものであったことをうかがわせる記載はない。また、28.4.20確認書は、C2会社の専属輸送会社の従業員であったA4の組合への加入公然化後に、組合とC2会社とが紛争状態であったところ、その解決のために合意されたものであることが認められ、このような作成経緯に照らしても、同確認書は、当時紛争状態であったA4個人の就労に関する権利を保障したものと解するのが相当であって、その他本件全証拠を検討しても、同確認書により、Z1会社が組合の組合員一人分の日々雇用の枠を確保することについての合意が成立したことを認めるに足りる証拠はない。

 以上からすれば、28.4.20確認書についての団体交渉を申し入れた5.11申入れは、組合員である労働者の労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項であって使用者に処分可能な事項に係る申入れとはいえず、義務的団交事項に係る団体交渉の申入れではなかったものと認められる。したがって、Z1会社が5.11申入れに応じなかったことは、労組法7条2号の正当な理由のない団交拒否には当たらない。

2 争点2(本件各解雇は、補助参加人らによる労組法7条1号及び同条3号の不当労働行為に当たるか)について
⑴ 組合は、本件各解雇について、会社らの不当労働行為意思を推認させる各事情が存在するとして、本件各解雇が労組法7条1号及び同条3号所定の不当労働行為に該当する旨を主張する。
 
 しかしながら、組合が、平成29年12月12日から同月13日までの間、ゼネラルストライキと称して、生コン製造会社等において行った争議活動(「29.12組合行為」)に参加した本件組合員らは、他の組合員らと共謀して、組合とは無関係の会社施設や会社正門での立ちはだかり行為などを行って粉粒体運搬車や生コンクリート輸送車両の運行を阻止するなど、組合活動と称して組合とは無関係の他社の業務を妨害したものであり、本件組合員らのかかる行動は、その後に刑事事件において威力業務妨害罪の有罪判決が確定していることに照らしても重大な刑事法令違反行為であり、それのみをもって懲戒解雇を当然に正当化するほどの顕著な懲戒事由に該当する非違行為であったものといわざるを得ない。そうすると、使用者側(本件組合員らの行動について十分認識していたことが認められる。)において、本件組合員らの上記非違行為を懲戒事由として本件各解雇に及び本件組合員らの上記行動の責任を問うことは無理からぬところである。
 
 この点について、確かに、本件各解雇の直近の時点において、会社らと組合との労使関係が悪化し、会社らが9.19申入れを正当な理由なく拒否したことなどの事実が存在する。しかしながら、上記のとおり本件組合員らの上記非違行為はそれのみをもって懲戒解雇を当然に正当化するほど重大なものであり、その他の会社らの主張する懲戒事由の存否にかかわらず、本件組合員らの上記非違行為に対する懲戒処分の量定に関し、本件組合員らが組合の組合員でないとしても、懲戒解雇に付されてもやむを得ないものといわざるを得ないから、会社らが行った本件各解雇は、反組合的意思の実現ということとは無関係に、本件組合員らの上記非違行為の責任を問う見地から行われた懲戒処分であったものと認められる。また、会社らにおいて、組合の弱体化を企図して本件各解雇を行ったものとも認められない。
 したがって、本件各解雇は、労組法7条1号及び同条3号の不当労働行為であるとは認められない。

⑵ これに対し、組合は、本件組合員らの前記⑴の非違行為と同種の事例であるとして、A1が過去に組合活動中に行った窃盗行為の存在を指摘し、会社らが当該窃盗行為については懲戒処分をせず、上記非違行為については本件各解雇に及んだのは反組合的意図が生じていたからである旨を主張する。

 この点について、A1が平成19年3月1日に組合活動中に窃盗行為を行い、その後に逮捕、勾留されて有罪判決が確定したことは確かであるが、当時、会社らがA1の上記窃盗行為を認識していたことについて、これを認めるに足りる的確な証拠は存在しない。また、仮に会社らが上記窃盗行為を認識していたとしても、29.12組合行為における本件組合員らの非違行為とはその違法性において格段の差があるといわざるを得ない。このことからすれば、組合が指摘する上記事情を考慮しても、会社らの反組合的意図がなければ、本件各解雇がされなかったとはいえない以上、本件各解雇と反組合的意図との間に因果関係を認めることはできない。したがって、本件各解雇が不当労働行為であったものと認めることはできない。
 よって、組合の上記主張は採用することができない。

3 争点3(Z2会社が組合に対して本件組合事務所の明渡しを通知しこれを閉鎖したことは、労組法7条3号の不当労働行為に当たるか)について
 組合は、Z2会社が組合に対して本件組合事務所を明け渡すよう通知し、本件組合事務所を閉鎖した行為は、労組法7条3号の不当労働行為に該当すると主張する。

 しかし、本件各解雇が不当労働行為に該当しないことは前記2に説示したとおりであり、Z2会社が本件組合事務所を明け渡すよう通知し、本件組合事務所を閉鎖した時点では、Z2会社において、本件組合員らが本件各解雇により会社らの従業員としての地位を失い、Z2会社には組合の組合員が存在しなくなったという認識であったものと認められる。そうすると、Z2会社が本件組合事務所を明け渡すよう通知し、本件組合事務所を閉鎖した行為は、飽くまで、Z2会社において、組合の組合員がいなくなったとの認識を前提として本件組合事務所を貸与する必要性がなくなったものと判断したことによるものであったといえる。そうである以上、会社らによる上記行為は、たとえ本件各解雇から時間的に近接していたとしても、これをもって、不当労働行為意思があったと推認することはできない。また、組合は、Z2会社が組合以外の他の2つの労働組合に対しては、組合に対するような性急な組合事務所の明渡しを要求していなかったなどと主張するが、明渡しを前提とした明渡時期の協議の可能性の有無や程度など組合と他の2つの労働組合とが置かれた状況にはそれぞれ差異があり、単純な比較ができないほか、Z2会社は組合以外の他の2つの労働組合についても最終的には貸与していた組合事務所からの退去を完了させたことが認められるのであるから、組合に対してのみ不利益な取扱いを行ったものと認めることはできない。
 以上によれば、Z2会社が組合に対して本件組合事務所を明け渡すよう通知し、本件組合事務所を閉鎖した行為は、労組法7条3号の不当労働行為に該当しない。

4 結論
 以上の次第であり、組合の請求は、理由がないから棄却する。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成30年(不)第71号・令和元年(不)第16号 一部救済、棄却 令和2年9月25日
中労委令和2年(不再)第45号・第46号・第47号 一部救済 令和6年2月21日
 
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