概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
東京地裁令和7年(行ウ)第360号
大浜資材不当労働行為救済命令取消請求事件 |
| 原告 |
X会社(「会社」)
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| 被告 |
国(処分行政庁 中央労働委員会(「中労委」)
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| 被告補助参加人 |
Z組合(「組合」) |
| 判決年月日 |
令和8年3月5日 |
| 判決区分 |
棄却 |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
1 本件は、会社が、組合が令和5年4月12日付け、同月20日付け、同月27日付け及び5月9日付けで申し入れた団体交渉(これら4回の申入れを併せて「本件団交申入れ」)に応じなかったことが労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。
2 初審大阪府労委は、会社が、本件団交申入れに応じなかったことは労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとして、会社に対し団体交渉応諾及び文書手交を命じたところ、会社は、これを不服として再審査を申し立てた。
3 中労委は、本件再審査申立てを棄却したところ(「本件命令」)、会社がこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起した。
4 同地裁は、会社の請求を棄却した。
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| 判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用及び補助参加によって生じた費用は原告の負担とする。
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| 判決の要旨 |
1 会社は、令和5年4月10日、組合に所属する組合員である従業員2名(「本件組合員2名」)に対し、同じ内容の勧告書(「本件脱退勧告書」)を提示して参加人からの脱退を勧告し(「本件脱退勧告」)、本件組合員2名が本件脱退勧告を拒否すると、本件組合員2名に対し、期限を示さずに、同月11日から自宅待機するよう命じた(「本件自宅待機命令」)。
本件各団交申入れに係る要求事項は、①本件脱退勧告及び本件自宅待機命令の取消し並びに本件組合員2名の従前どおりの就労、②本件脱退勧告書により参加人の名誉を毀損し、不当労働行為を行ったことについての謝罪文の提出、③本件組合員2名に対する令和5年4月分給与の減額分の支払であるところ、これらは、いずれも本件組合員2名の労働条件その他の待遇に関する事項であって、かつ、会社が決定することができるものと解されるから、会社も認めるように義務的団交事項に当たるもので、上記要求事項について会社が正当な理由なく団体交渉を拒否する場合、労組法7条2号の不当労働行為に当たるというべきである。
2⑴ 会社は、本件各団交申入れに対し、令和5年4月18日に送付した文書においては、業務多忙のため団体交渉を開催することができないとしてその開催日時も示さず、その後の同年5月8日及び同月15日に送付した各文書においても、検討した上で回答したいとしながらその回答時期も示さず、団体交渉に応じなかったものであるから、会社が本件各団交申入れを正当な理由なく拒否したと認めるのが相当である。
⑵ これに対し、会社は、本件各団交申入れに応じなかった理由について、会社が業界内でどのように見られ、ひいては会社が加入する事業協同組合であるC協同組合の一員として共同販売事業への参加を許されて工場を維持、存続することができるかを左右する重大な局面にある中で、会社が参加人と団体交渉に入ることが、関係業界に対し、参加人との関係を維持することにより、反社会的活動を容認するかのような印象を与えることになりかねないためであった旨主張する。しかしながら、行き詰まった団体交渉を中途で打ち切るのであればともかく、会社主張に係る内容自体が団体交渉に応諾すらしない事情になるとは思われず、この点をもって、団体交渉の拒否に正当な理由があったとはいえない。
また、会社は、上記のような局面にあったことについて、独自の情勢分析であると主張するにとどまり、会社が参加人と団体交渉に入ることにより会社の工場の維持、存続が危うくなる状況にあったと認めるに足りる的確な証拠もない。
会社は、本件各団交申入れに応じなかった理由について、係争事項である自宅待機命令の適法性等については、会社が別件訴訟(※)において争っており、訴訟の対象となっている係争事項について団体交渉による解決を当面先送りすることは許容されるべきである旨主張する。
(※)本件組合員2名が、会社に対し、本件自宅待機命令が無効であるとして、自宅で勤務する雇用契約上の義務のないことの確認を求めるとともに、本件脱退勧告及び本件自宅待機命令がいずれも不法行為に当たるとして、損害賠償等を求めて提起した訴訟
しかしながら、会社も認めるとおり、係争事項につき訴訟が係属していること自体をもって団体交渉の必要がないとは直ちにいえない上、労使間の将来の関係をも視野に入れて合意による解決を目指す団体交渉は、私法上の権利関係の確定を目的とする訴訟とは機能や目的を異にするものであるから、会社が団体交渉による妥結の可能性を全く追求することなく、その申入れに応じなかったことが正当な理由によるものとはいえず、他に、会社の同主張を裏付けるに足りる的確な証拠はない(付言するに、別件訴訟において会社の主張はいずれも排斥されて、本件脱退勧告及び本件自宅待機命令がいずれも不当労働行為に当たる旨の判断がされている。)。
⑶ 以上のとおり、会社は、正当な理由なく団体交渉を拒否したというべきであるから、かかる行為は、労働組合法7条2号の不当労働行為に当たると認められる。
3 結論
以上のとおり、本件命令は正当であり、その取消しを求める会社の請求は理由がないからこれを棄却する。
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| その他 |
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