概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
大阪高裁令和7年(行コ)第73号
不当労働行為救済命令取消請求控訴事件
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| 控訴人 |
X組合(「組合」)
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| 被控訴人 |
大阪府(処分行政庁 大阪府労働委員会(「大阪府労委」) )
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| 被控訴人補助参加人 |
Z法人(「法人」) |
| 判決年月日 |
令和8年1月16日 |
| 判決区分 |
棄却 |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
1 本件は、組合からの団体交渉申入れに対し、法人が、組合との関係で労組法上の使用者ではないとして、これに応じなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
2 大阪府労委は、申立てを棄却した。
3 組合は、これを不服として大阪地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は組合の請求を棄却した。
4 組合は、これを不服として大阪高裁に控訴したところ、同高裁は、組合の控訴を棄却した。
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| 判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(当審における補助参加によって生じた費用を含む。)は控訴人の負担とする。
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| 判決の要旨 |
1 当裁判所も、法人が、本件団交申入れの当時、組合との関係で労組法7条2号所定の「使用者」であったと認めることはできないから、組合の請求は理由がないと判断する。その理由は、後記2のとおり当審における組合の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の1から4までに記載のとおりであるから、これを引用する。(ただし、一部補正(略)あり。)
2 当審における組合の補充主張に対する判断
(1)組合は、B1会社の社長であるB2が組合に加入していたB1会社の従業員を脅迫し、同従業員が組合を脱退したことなどの経緯を踏まえて、B1会社が加入していた使用者の団体である法人も労組法7条2号所定の「使用者」に該当すると主張する。
しかしながら、B1会社の従業員が平成29年8月21日から平成30年2月まで組合の組合員であったとしても、本件団交申入れがなされた令和5年4月21日当時はもちろん、本件団交申入れの対象とされた監視活動がなされた平成29年8月18日当時も、法人及びその加入事業者に雇用されている組合の組合員はいなかったのであるから、法人が、本件団交申入れ当時、組合との関係で労組法7条2号所定の「使用者」であったと認めることはできない。なお、B1会社の社長であるB2が組合の組合員であった上記従業員を脅迫したことなどを裏付ける的確な証拠はないこと、上記従業員が上記脅迫のあったとされた頃から約半年後に組合を脱退しており、仮にB2による脅迫等があったとしても、これが上記脱退の原因であったとは考え難いこと、上記従業員が組合を脱退してから本件団交申入れまで5年余りが経過していたことに鑑みれば、上記従業員が過去に組合に加入していたことをもって、法人が、本件団交申入れ当時、組合との関係で労組法7条2号所定の「使用者」であることを基礎づけるものとはいえない。
よって、組合の上記主張は採用できない。
(2)組合は、労組法7条2号所定の「使用者」を、産業別労働組合の労働基本権を保障し、当該産業に属する使用者に対し組合員を雇用しているか否かにかかわらず団体交渉等を認めているなどと解される憲法28条に沿うよう解釈適用されなければならない旨主張する。
しかしながら、労組法7条2号所定の「使用者」は、団結権侵害行為を排除して正常な労使関係を回復するという不当労働行為制度の目的に照らし、労働契約上の雇用主に限定すべきでないとしても、少なくとも具体的な労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的にであっても同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にあることを要するというべきであって(平成7年2月28日第三小法廷判決・民集49巻2号559頁参照)、労組法7条は、このような事業主による支配、決定の及ぶ労働者が加入していない労働組合に対してまで、使用者が団体交渉の義務を負うことは予定していないというべきである。
なお、組合は、憲法28条の前記の趣旨や法人の組合に対する監視行為及びこれによる組合の団結権の侵害等に鑑みて、仮に組合を労組法7条2号所定の「使用者」に該当しないと解されるのであれば、本件団交申入れの拒否に関する限りで、同号は憲法28条に違反して適用違憲とすべきであり、法人が本件団交申入れに応じないことにつき、労組法7条の不当労働行為の成立を認めるべきである旨も主張する。しかしながら、憲法28条は、企業者対勤労者すなわち使用者対被用者というような関係に立つものの間において、勤労者の労働条件を適正に維持改善するため、経済上の弱者である勤労者のために団結権ないし団体行動権を保障したものにほかならない(最高裁昭和24年5月18日大法廷判決・刑集3巻6号772頁参照)から、勤労者の団体であっても、その団体に所属する組合員を雇用していない企業者ないし使用者との関係において、団結権や団体行動権を保障したものということはできない。したがって、組合が指摘する事情を考慮し、本件団交申入れの拒否に関する限りであっても、同号が憲法28条に違反するとはいえず、法人が本件団交申入れに応じないことにつき、労組法7条の不当労働行為の成立を認めるべきであるとはいえない。
よって、組合の憲法違反に関する主張は採用できない。
3 結論
以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却する。 |
| その他 |
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