労働委員会裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪高裁令和5年(行コ)第46号
不当労働行為救済会命令取消請求控訴事件 
控訴人  株式会社X(「会社」) 
被控訴人  大阪府(代表者兼処分行政庁 大阪府労働委員会) 
被控訴人補助参加人  Z組合(「組合」) 
判決年月日  令和5年9月1日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、組合が組合員Aの解雇について団体交渉を申し入れたところ、会社が、同組合員は取締役であって労組法上の労働者ではないとしてこれに応じなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがあった事案である。
2 大阪府労委は、Aが労組法上の労働者に当たるとして、労組法7条2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。
3 会社は、これを不服として、大阪地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、会社の請求を棄却した。
4 会社は、これを不服として、大阪高裁に控訴したところ、同高裁は、会社の控訴を棄却した。
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は控訴人の負担とする。
判決の要旨  1 当裁判所も、原判決と同じく、会社の請求は理由がないものと判断する。その理由は、後記2のとおり説明を付加するほか、原判決「事実及び理由」中「第3 争点に対する判断」欄の1〜3項に記載のとおりであるから、これを引用する。

2 付加説明

 会社は、当審においても、Aに対して支払われていた報酬は従業員に支給される給与とは性質を異にするし、Aは会社から指揮命令を受ける地位にはなかった等として、Aは労組法3条の労働者には当たらない旨主張する。
 そこで判断するに、会社からAに支給されていた報酬については、時期により金額が大きく変動するなど、一般的な従業員に対する給与とは異なる面があることは会社の指摘のとおりである。しかし、Aは会社において鋼材切削加工等の現場業務に従事していたから、Aの受け取っていた報酬の一部は労務提供に対する対価と認めるべきものである。
 また、Aは、会社入社の約4か月後に取締役に就任し、役員会議に出席する立場にあったが、証拠上、Aが会社としての意思決定に相応の関与をした事実はうかがわれない。
 その他、Aが外出時にもタイムカードの打刻を義務付けられ、打刻理由説明書に公用か私用かを記入させられるなど勤怠管理を受けていたことに照らしても、Aについては、本件解雇通知を受けた時点で、労働者の地位を併有する使用人兼務取締役であったと認めるのが相当である。
 したがって、会社に対して団体交渉に応じることを義務付けるなどした本件救済命令が違法であるということはできない。

3 結論

 原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却する。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委令和元年(不)第27号 全部救済 令和3年5月7日
大阪地裁令和3年(行ウ)第65号 棄却 令和5年2月22日
 
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