労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(千葉動労)  
事件番号  東京高裁平成26年(行コ)第302号 
控訴人  国鉄千葉動力車労働組合(「組合」) 
控訴人  個人A2~A20(組合員19名、「組合」と併せて「組合ら」) 
被控訴人  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
参加人  東日本旅客鉄道株式会社(「会社」) 
判決年月日  平成27年4月14日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 組合らが平成18年3月に実施した、千葉支社管内の線区で列車の最高速度を時速10キロメートル減速し回復運転は行わない旨を主たる内容とする安全運転闘争(以下「本件争議行為」という。)に対し、会社が行った警告、管理者等の添乗調査、事情聴取、懲戒処分等及び賃金上の不利益待遇について、組合らが、不当労働行為に該当するとして千葉県労働委員会に対してした救済申立てが棄却されたため、中央労働委員会に対して再審査申立てをしたところ、中労委が上記再審査申立てを棄却した。
2 組合らが、これを不服として、上記再審査申立棄却命令の違法性を主張して、その取消しを求め、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は組合らの請求をいずれも棄却した。
3 組合らが、これを不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は組合らの控訴を棄却した。  
判決主文  1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用(参加によって生じた費用を含む。)は控訴人らの負担とする。  
判決の要旨  第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、組合らの再審査申立てを棄却した本件命令には違法事由が認められないから、組合らの請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「第3 当裁判所の判断」に説示のとおりであるから、これを引用する。
(1) 26頁4行目の「減速行為」から11行目の「いわざるを得ない」までを「『参加人千葉支社管内の全線区で、最高速度を時速10キロメートル減速する』ことが明言されているとともに、単に『回復運転はしない』とされているのであって、これらは、本件争議行為の実施区間をあらかじめ限定する趣旨であったと認めることはできない。控訴人らの主張は、現実に『最高速度から時速10キロメートルの減速走行』を行った箇所はどこかということと、本件争議行為を行う予定で乗務した区間はどこかという問題を混同するものであり、不合理であって採用することができない。」と改める。
(2) (略)
(3) 29頁21行目末尾に改行の上、次のとおり加える。
  「なお、控訴人らは、参加人が遅延の発生を主張している箇所には、『最高速度から時速10キロメートル以上を減じた速度』以上の速度を出せない箇所も多く含まれている上、参加人は、控訴人らが減速行為を行った箇所と行っていない箇所を併せた区間での遅延を問題としている場合や、遅延の発生の有無も明らかでない箇所まで問題にしている場合もあり、本件争議行為によって、1分以上の列車の遅延発生が生じたとは認められないと主張する。しかし、前記説示のとおり、本件争議行為には実施区間の限定がなかったとみるべきであり、また、回復運転は必ずしも最高速度に近い速度を出すことのできる区間でしか行い得ないものとも認められないから、遅延時分一覧表の『遅延現認区間』欄記載の各区間内において最終的に遅延が発生していれば、それをもって控訴人A1ら12名による減速行為及び意図的な回復運転をしないという不作為によって生じたものとみることになんら不合理な点はなく、控訴人A1ら12名による本件争議行為によって、1分以上の列車の遅延発生が生じたと認めることができる。控訴人らは、回復運転を行わないという不作為によっては列車の遅延が発生するものではないと主張するが、減速行為によって列車の遅延が発生した後、何らの回復運転もしなければ、運転作業要領No.9の定める『許された速度の範囲内で、遅延の回復に努め』た場合と比較して目的地への到着時刻が遅れることは明白であり、控訴人らの主張は到底採用することができない。」
(4)~(6) (略)
(7) 35頁11行目の「本件争議行為は、」から13行目の「取り上げる」までを「参加人においては、各停車場における発着時刻は、列車運転速度表に定める最高速度及び制限速度に従って走行することを前提として、車両性能及び線路条件に照らして列車の運行に要すると見込まれる時間(基準運転時分)に、安全確保及び定時運転確保のための余裕時間(余裕時分)を加えて設定された各停車場間の運転時聞(運転時分)に基づいて設定されているとともに、運転作業要領No.9において、運転士において、列車が遅延したときは、許された速度の範囲内で、遅延の回復に努める旨定めている(前記第2の2(2))のであるから、このような参加人の定時運行体制を一時的に排除して、列車の遅延を発生させる意図的な回復運転を伴わない減速走行をすることが正当であるといえないことは明らかであり、」と改める。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
千葉県労委平成18年(不)第1号 棄却 平成21年6月26日
中労委平成21年(不再)第22号 棄却 平成23年4月20日
東京地裁平成23年(行ウ)第530号 棄却 平成26年7月16日
 
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