労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  平成タクシー  
事件番号  広島地裁平成24年(行ウ)第20号  
原告  有限会社平成タクシー  
被告  広島県(処分行政庁:広島県労働委員会)  
被告補助参加人  スクラムユニオン・ひろしま  
判決年月日  平成25年9月4日 
判決区分  一部取消・却下・棄却  
重要度   
事件概要  1 ①ビラ配布を理由として懲戒処分を行ったこと、②組合員を異動させ、乗務する車種を変更したこと、③Y2部長が分会組合員9名と話し合い、「不当労働行為の救済申し立てを取り下げてもらえませんか?」などと書かれた文書を示し、また発言したこと、④Y1社長が、出勤してきた副分会長X1を乗務させなかったこと、⑤同日、X1が客から直接依頼を受けたこと等を理由に処分を行ったこと及び乗務させない状態が続いていること、⑥X3を乗務させない状態が続いていること、⑦ Y1社長が団体交渉に出席せず、また、団体交渉の合意事項を文書化せず、履行していないことが、不当労働行為に当たるとして、広島県労委に救済があった事件である。
2 広島県労委は、会社に対し、①組合員7人に対する懲戒処分の取り消し及び不利益相当分の給与相当額等の支払、②組合員であること等を理由とする不利益取扱や正当な組合活動の妨害などの支配介入の禁止、③X1及びX3に対する乗務拒否による同人らの不利益相当分の給与相当額等、また本件命令交付の翌日からX3が乗務できるまでについては、同人が受け取るはずであった給与相当額の支払い、④文書の交付・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 本件は、これを不服として、会社が広島地裁に行政訴訟を提起した事件である。  
判決主文  1 処分行政庁が、広労委平成23年(不)第1号事件について、平成24年4月3日付けでした命令の主文第1項のうち、平成22年11月4日に原告が発令したX1、X2、X3、X4及びX5に対する懲戒処分の取消しを命じる部分の取消しを求める訴えを却下する。
2 処分行政庁が、広労委平成23年(不)第1号事件について、平成24年4月3日付けでした命令の主文第1項のうち、原告に対し、別紙1救済命令支払命令目録記載の金員をX1、X2、X3、X4、X5及びX6に対して支払うよう命じる部分のうち、別紙2判決確定額目録記載の広島高等裁判所平成24年(ネ)第472号、平成25年(ネ)第25号事件判決で確定した同人らの原告に対する金員支払請求権で定まる額を超える金員の支払を命じる部分を取り消す。
3 処分行政庁が、広労委平成23年(不)第1号事件について、平成24年4月3日付けでした命令の主文第1項のうち、原告に対し、別紙1救済命令支払命令目録記載の金員をX1、X2、X3、X4、X5及びX6に対して支払うよう命じる部分のうち、前項により取り消した残余の部分の取消しを求める訴えを却下する。
4 処分行政庁が、広労委平成23年(不)第1号事件について、平成24年4月3日付けでした命令の主文第1項のうち、原告に対し、別紙1救済命令支払命令目録記載の金員をX7に対して支払うよう命じる部分の取消しを求める訴えを却下する。
5 処分行政庁が、広労委平成23年(不)第1号事件について、平成24年4月3日付けでした命令の主文第3項のうち、原告に対して、同命令交付の翌日からX3が乗務できるまでについて、同人が受け取るはずであった給与相当額の支払を命じる部分を取り消す。
6 原告のその余の請求を棄却する。
7 訴訟費用及び補助参加費用は原告の負担とする。  
判決の要旨  1 争点1(本件救済命令発出後に会社がX1らに対して別紙2判決確定額目録記載の金員を支払ったことにより、本件主文第1項の救済命令が違法となるか)について
(1)  本件救済命令の主文〔以下「主文」〕第1項は、①本件懲戒処分を取り消し、②会社に対し、別紙〔本件判決書別紙。以下同旨〕1救済命令支払命令目録記載のとおりの金員の支払を命じるものである。別件訴訟において、本件懲戒処分は、会社とX6及びX7の間において無効が確認されるとともに、会社に対して、別紙1救済命令支払命令目録記載の金員〔以下「支払命令額」〕の支払の名宛人であるX1らに別紙2判決確定額目録記載の金員〔以下「判決確定額」〕の支払が命じられて確定し、既に債務全額が支払われているところ、その債務の法的性質は、本件懲戒処分がなければX1らが得られたはずの給与相当額の損害であって、本件救済命令によって会社に支払が命じられた債務と同じものである。
(2) 会社は、本件確定判決とは別途に本件救済命令を求めることは、申立ての利益を欠き、本件救済命令は取り消されるべきであると主張する。しかし、救済命令の申立ての利益があるか否かは、救済命令の発出時を基準として判断すべきである。本件救済命令が発出された平成24年4月3日時点では、別件訴訟の第1審判決すらいまだなされておらず、本件救済命令の発出後に、命令支払額の債務と同じ債務について、会社に対して同債務の支払を命じる確定判決が得られ、会社がその確定判決で命じられた債務全額を支払ったとしても、それにより組合が本件救済命令を申し立てるにつき、申立ての利益がなかったことになるわけではなく、遡って本件救済命令を違法ならしめるわけではない。
(3) しかしながら、訴えの利益の存否については、会社が、X1らに対し、判決確定額載の債務を全額支払ったことは、同じ債務の支払を命じている本件主文第1項のうち、支払命令額記載の部分が、上記支払のされた限度で実現され、その目的は達せられたものと解される。そうすると、本件救済命令は、上記支払のされた限度でその基礎を失い、その拘束力が失われることになるから、同部分の取消しを求める会社の訴えには、訴訟上これを取り消すべき実質的利益がなくなったものとして、訴えの利益が失われる。
 本件確定判決で支払が命じられた判決確定額と、本件救済命令で支払が命じられた支払命令額を元本額で比較すると、X7を除いて、前者の額の方が、後者の額よりも小さいことが認められる。すなわち、本件主文第1項でX1、X2、X3、X4、X5及びX6に対する支払が命じられた部分は、会社の支払によってその一部が実現され、目的は達せられているが、そうではない部分があるので、主文第1項のうち、支払命令額の支払を命じる部分の取消しを求める訴えは、上記支払がされた限度で訴えの利益がなく却下を免れないが、その余の部分は訴えの利益がある。
 他方、本件主文第1項でX7に対する支払が命じられた部分は、会社の支払によって全部実現されており、同部分の取消しを求める訴えは、訴えの利益がなく却下を免れない。
(4) 主文第1項のうち、本件懲戒処分の取消しを命じる部分についても、本件訴訟の確定判決により、X6及びX7に対する本件懲戒処分の無効が確定しているが、私法上無効であるとしても不当労働行為に当たらないと判断される余地が残るから、訴えの利益は残っていると解すべきである。ただ、X6及びX7以外のX1、X2、X3、X4及びX5の関係については、同人らが既に会社を退職しており、同人らに対する懲戒処分の取消しを命じる部分は、その基礎を欠くに至り、会社に対する拘束力を失ったものというべきであるから、その部分の取消しを求める会社の訴えは、訴訟上これを取り消すべき実質的利益がなくなったものとして、訴えの利益が失われたというべきである。
2 争点2(本件懲戒処分の不当労働行為該当性)について
(1) 本件ビラ配布行為の組合活動としての正当性について
ア 本件ビラ配布行為の目的
 会社が不当労働行為を行っていることを社会的に訴えるために行われたものであり、組合の運営や団体交渉に関連性を有するものということができるため、その目的において正当である。
イ 本件ビラ配布行為の場所、配布態様
 会社が契約しているZ1等の商業施設又はその周辺で行われており、敷地内に立ち入らないように気をつけながら行われたものである。配布態様も、本件分会の組合員が制服に腕章をつけ通行人に手渡しするにとどまるという平穏なものである。
ウ ビラの記載内容
 ビラの内容は、その表現にやや誇張した部分や穏当でない部分があるとしても、組合の会社に対する批判、主張及び訴えとして正当性が認められ、全体として、会社の名誉、信用を違法に棄損するものには当たらない。
エ 以上によれば、本件ビラ配布行為は、その目的、配布場所、配布態様、配布されたビラの記載内容に照らしても、正当な組合活動であると認められる。
(2) 本件懲戒処分の不当労働行為該当性
ア 労働組合法7条1号該当性
 本件懲戒処分は、本件ビラ配布行為のみならず、本件ストライキに対する報復的意図を持って行われたものであることが推認される。本件懲戒処分は、正当な組合活動である本件ビラ配布行為及び本件ストライキをしたことを理由としてされた不利益取扱いである。
イ 労働組合法7条3号該当性
 本件懲戒処分により収入をほとんど得られなくなった組合員がいること、組合員数が、減少していることも併せて考慮すると、本件懲戒処分は、組合の組合活動を萎縮させようとの意思の下にされたことが推認されるから、本件分会の活動に対して行われた支配介入である。
3 争点3(本件話合いにおいてY2部長が本件文書を示したことの不当労働行為該当性)について
(1) 労働組合法7条3号該当性
 Y2部長は、組合員に対し、本件文書を配布して読み上げているところ、本件文書中の文言からは、Y2部長が本件分会の正当な活動を非難する意思を有していたことが推認され、また、Y2部長が、本件文書の読み上げにより、本件分会の活動に介入し、本件分会の切り崩しを図る意思を有していたことが推認される。加えて、本件話合いは、不当労働行為である本件懲戒処分が行われた後に行われ、本件文書の内容から見て本件懲戒処分と関連性を有すると認められること、本件分会のその当時の分会長であるX9が排除されたまま行われたことなども併せて考えると、本件文書の読み上げ及び配布は、専ら不当労働行為救済申立てを取り下げさせ、組合を排除することを目的に行われたものであると認められる。したがって、Y2部長が本件文書を示したことは、本件分会の活動に対する介入に当たる。
4 争点4(平成23年1月15日以降のX1に対する乗務拒否の不当労働行為該当性)について
(1) 会社による乗務拒否の有無
ア X1は、平成23年1月15日以降、タクシー乗務をしていない状態が継続していた事実が認められる。
イ X1は、平成23年1月15日、制帽を着用していなかったことに関する始末書の提出を拒否したことから乗務ができなかったが、同時に、Y1社長から、始末書提出後1か月で辞めてもらう旨も告げられた。しかし、制帽を着用していないという事実があったとしても、それだけで解雇される理由になり得ないのに、将来における辞職に結びつけられた始末書提出を求められたことからすると、始末書提出を拒否したからといって、乗務させないとした扱いに正当な理由があるとはいえない。
ウ 会社は、組合によって同年2月7日に本件救済命令の申立てがされた後、同月17日にX1に対して出勤を求める通知書を送付したことは認められるが、その文面は、本件救済命令申立ての事由とされた乗務拒否について、乗務拒否をしたことはないと争うだけであり、同年3月24日及び同年5月2日の通知書も単に出勤するよう求めるだけのものである。乗務拒否の状態は、上記通知書を送付しただけでは解消されたものとはいえず、少なくとも、組合からの申立てに基づき、処分行政庁が、労働委員会規則40条に基づく審査の実効確保の措置をした後に設定された、会社と組合の団体交渉の日である同年5月11日まで継続していたものというべきである。
(2) 労働組合法7条1号該当性
 乗務員の給与は歩合給であるから、同年5月11日まで継続した乗務拒否は不利益な取扱いである。X1は、組合員であり、本件分会の副分会長を務めていた者であるところ、Y1社長はX1が本件分会の中心人物であることを理由として、同人に不利益を被らせる目的をもって、同人の乗務を拒否する強固な意思を有していたものと認められる。
(3) 労働組合法7条3号該当性
 X1に対する乗務拒否は、X1が本件分会の副分会長として労働組合の中心人物であることも理由としていることから、会社は、本件分会の組合活動を萎縮させる効果をも狙ったことが認められる。
5 争点5(平成23年1月4日以降のX3に対する乗務拒否の不当労働行為該当性)について
(1)  会社による乗務拒否の有無
ア X3は、平成23年1月4日以降、タクシー乗務をしていない状態が継続していた事実が認められる。
イ Y1社長は、同日、出勤したX3に対して、Y1社長から借りていた4万円を返済するよう要求し、その返済がされれば乗務させるとして、X3の乗務を拒否し、同日以降も乗務拒否の状態が継続していた。借金を返済しないことは、X3の勤務とは無関係であって乗務拒否の正当な理由たり得ず、同日の乗務拒否は明らかに不当なものであり、会社の責めに帰すべき事由によりX3は乗務できなかったというべきである。またX3は、同月7日、Y1社長の自宅を訪ね、1万円を返済しようとしたが乗務させてもらえず、同月8日も乗務させるよう電話で求めたのに、乗務を拒否されたというのであって、その乗務拒否が不当であることは明らかである。
ウ 会社は、組合によって同年2月7日に本件救済命令の申立てがされた後、同月17日にX3に対して出勤を求める通知書を送付したことは認められる。しかし、その文面には、X3をタクシーに乗務させない旨が明記されているのであり、乗務拒否の状態が解消されていないことは明らかである。また、会社は同年3月24日及び同年5月2日も、出勤を求める通知書を送付しているが、それらの通知書も単に出勤するよう求めるだけのものである。X3に対する乗務拒否の状態は、上記のような通知書を送付しただけでは解消されたものとはいえない。したがって、X3に対する乗務拒否の状態は、少なくとも、組合からの申立てに基づき、処分行政庁が、労働委員会規則40条に基づく審査の実効確保の措置をした後に設定された、会社と組合の団体交渉の日である同年5月11日まで継続していたものというべきである。
(2) 労働組合法7条1号該当性
 乗務員の給与は歩合給とされているのであるから、X3に対して同年5月11日まで継続した乗務拒否が不利益な取扱いであることは明らかである。そしてX3は、本件分会の組合員であるところ、X3が、Y1社長の自宅を訪ねた際、Y1社長は、X3に対して、本件分会を抜けなければ、会社を辞めてもらう旨述べているというのであるから、X3への乗務拒否は、X3が本件分会の組合員であることの故をもってされたことが推認される。
(3) 労働組合法7条3号該当性
 X3に対する乗務拒否は、X3が本件分会の組合員であることをも理由とし、しかも、Y1社長がX3に対して、本件分会がいずれ潰れてしまうことなどを述べていることも併せて考慮すれば、本件分会及び組合の弱体化を図る方策のうちの一つであることが推認される。そうすると、会社はX3に対する乗務拒否を継続する効果として、本件分会の組合活動を萎縮させるという効果をも狙ったことが認められるから、組合に対する支配介入の意思に基づくものと認められ、労働組合法7条3号の不当労働行為にも該当する。
6 争点6(救済方法の選択の適法性)
(1) 主文第1項のうち、会社に対して命令支払額をX1らに対して支払うよう命じる部分について
ア 上記救済命令のうち、会社に対して、命令支払額をX7に支払うよう命じる部分については、これの取消しを求める訴えに訴えの利益がないことは上記1(3)のとおりであるから、その余の部分について検討する。
イ 上記救済命令のうち会社に対して命令支払額をX1、X2、X3、X4、X5及びX6に対して支払うよう命じる部分は、そのこと自体は不当労働行為救済制度の趣旨、目的に照らして許容されるものである。しかし、上記1(1)のとおり、命令支払額に係る債務は、判決確定額の債務と法的性質は同じものであるが、損害額の算定において相当程度の差異があり、本件救済命令は、本件懲戒処分と因果関係が認められない損害をも含めて会社にその支払を命じるなど、結果的には、本件確定判決により既判力をもって実体的に確定した給与請求権の額を超えた支払を命じることとなっている。本件救済命令のうちの同部分は、労働委員会に与えられた裁量権の範囲を超えるものとして違法であり、同部分は取り消されるべきである(なお、本件主文第1項で、会社に対して命令支払額を支払うよう命じる部分のうち、判決確定額の支払がされた部分の取消しを求める訴えについて、訴えの利益がないことは、上記1(3)で説示したとおり)。
(2) 会社に対して乗務拒否によってX1及びX3が被った不利益相当分の給与相当額の支払を命じる本件主文第3項について
 X1及びX3に対する乗務拒否が不当労働行為に当たることは上記4、5で判断したとおりであり、救済命令の方法として同人らが被った不利益分の給与相当額の支払を命じることも、労働委員会に与えられた裁量権の範囲と考えられる。しかし、ここで支払を命じられる不利益分の給与相当額の請求根拠は、私法的には、会社のX1及びX3に対する乗務拒否が、会社の責めに帰すべき事由によって、雇用契約における債務者である乗務員が債務を履行することができなくなったときに当たることを前提として、民法536条2項の危険負担の規定を根拠として両名が会社に対して失わないとされる給与相当額の支払請求権であると解される。そうすると、労働委員会の救済方法の裁量権の範囲の問題としては、命じられた不利益相当分の給与相当額が、同給与相当額の支払請求権の範囲にない場合には、会社による乗務拒否がなかった場合のX1及びX3の状態とかい離した状態の実現を図るものとなってしまい、不当労働行為救済制度の趣旨、目的に照らして、許容されないこともあるというべきである。そこで、以下、個別に検討する。
ア X1関係分
 会社のX1に対する乗務拒否が平成23年1月15日に開始され、これにより債権者である会社の責めに帰すべき事由により債務者であるX1の労務の提供は履行不能になったものということができる。乗務拒否が少なくとも同年5月11日までの間、継続しており、その間のX1の不利益相当分の給与相当額の支払をX1に命じた本件主文第3項の部分には、その救済方法についての裁量権を逸脱した違法はない。
イ X3関係分
 (ア) 同様に、会社のX3に対する乗務拒否が平成23年1月4日に開始され、同年5月11日まで継続しており、それまでの間のX3の不利益相当分の給与相当額の支払をX1に命じた本件主文第3項の部分にはその救済方法についての裁量権を逸脱した違法はない。
 (イ) ただ本件主文第3項は、本件救済命令交付の翌日から、X3が乗務できるまでについて、X3が受け取るはずであった給与相当額の支払も求めているが、平成23年5月11日には、組合からの申立てに基づき、処分行政庁が、労働委員会規則40条に基づく審査の実効確保の措置をし、その後、会社と組合間の団体交渉が設定されたことが認められる。そして、会社は、この団体交渉に応じようしたが、組合が団体交渉に応じず、それ以降もX3が出勤しなかったというのであるから、それ以降の期間について会社の責めに帰すべき事由によって乗務拒否があったというのは相当ではないというべきである。そうすると、本件主文第3項のうちの上記部分は、会社による乗務拒否がなかった場合のX3の状態とかい離した状態の実現を図るものとなってしまい、不当労働行為救済制度の趣旨、目的に照らして、許容されないというべきである。したがって、本件主文第3項のうち、同部分は、労働委員会の裁量権を逸脱したものとして違法といわざるを得ず、取り消されるべきである。
(3) 以上のほか、主文第2項及び同第4項で命じる救済方法の選択について、処分行政庁がその裁量権を逸脱又は濫用したとは認められないから、主文第2項及び同第4項にはこれを取り消すべき違法はない。  
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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
広島県労委平成23年(不)第1号 一部救済 平成24年4月3日
広島地裁平成24年(行ク)第18号 緊急命令申立の一部認容 平成25年9月4日
広島高裁平成25年(行コ)第26号 原判決一部取消 平成26年9月10日
広島高裁平成26年(行サ)10号 上告却下 平成26年11月28日
 
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