概要情報
事件名 |
旭包装
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事件番号 |
広島高裁平成24年(行コ)第13号
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控訴人
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旭包装株式会社
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被控訴人
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岡山県(処分行政庁:岡山県労働委員会)
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被控訴人補助参加人
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自治労全国一般岡山地方労働組合旭包装支部
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判決年月日
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平成25年2月21日
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判決区分
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棄却
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重要度 |
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事件概要 |
1 会社が、①組合支部の支部長X1に対し、平成21年冬季賞与を支給しなかったこと(以下「本件不支給」という。)、②22年春闘におけるベースアップ及び賞与に関する団体交渉(以下「本件団体交渉」という。)に誠実に応じなかったこと、③役職のない従業員を団体交渉に会社側として出席させたことが、不当労働行為に当たるとして、岡山県労委に救済申立てがあった事件である。
2 岡山県労委は、会社に対し①X1に係る21年冬季賞与の額を再査定の上、同人に支払うこと、②本件団体交渉に誠実に応じること、③文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
これに対し、会社は、これを不服として、岡山地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
本件は、同地裁判決を不服として、会社が広島高裁に控訴した事件であるが、同高裁は、控訴を棄却した。
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判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
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判決の要旨 |
当裁判所も、原判決と同様に、本件不支給は労組法7条1号の、本件団体交渉における会社の対応は同条2号の不当労働行為にそれぞれ該当し、これと同旨の判断に基づいて発せられた本件救済命令を違法ということはできないと判断する。その理由は、以下のとおり〔抄録〕改めるほかは、原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。
原判決〔第3の2「争点2 本件団体交渉における会社の対応が労組法7条2号の不当労働行為に当たるか」の(2)における〕15頁26行目から同16頁6行目までを次のとおり改める。
「これに対し、会社は、組合は、①本件団体交渉で、団体交渉の方法等、組合の要求どおりにしなければ法律違反になると断言し、有利な回答を引き出そうとしたり、②岡山県労委のあっせんを受け、会社を誹謗中傷するブログを削除し、今後は同書き込みをしないことを約束したにもかかわらず、新たに会社を誹謗中傷する書き込みをしたりするなど、このように組合側が合意達成の努力を怠っていると見られる場合には、使用者は誠実交渉義務を負わず、少なくとも同義務は軽減されるというべきで、本件団体交渉における会社の対応は、誠実交渉義務に反するものではなく、不当労働行為に当たらないと主張する。
しかし、①については、本件団体交渉で、組合が自己の主張を変えなかったことをもって、不誠実な交渉態度と評価することはできない。
②については、支部は、県労委のあっせん案を、会社とともに受け入れたが、翌日、組合のブログに取締役を批判するコメントを掲載したことが認められ、これは上記あっせんに基づく会社との合意に違反したと認められるものの、上記コメントはほどなく削除されたことに照らすと、会社が支部に対する誠実交渉義務を免れ、あるいは同義務が軽減されるとは認められない。
その他、本件団体交渉での組合の交渉態度を考慮しても、会社の団体交渉での対応が誠実交渉義務を果たしたと評価することはできない。」
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その他 |
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