労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  南労会(懲戒解雇・不誠実団交) 
事件番号  東京高裁平成24年(行コ)第17号 
控訴人  全国金属機械労働組合港合同
全国金属機械労働組合港合同南労会支部  
被控訴人  国(処分行政庁:中央労働員会) 
被控訴人補助参加人  医療法人南労会 
判決年月日  平成24年6月28日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 医療法人が、①デイケア事業を実施することに伴い、組合副執行委員長X1に対し、同事業に関連するリハビリ業務を担当するように業務指示を行ったこと、②この業務指示を拒否したことを理由に、同人を懲戒解雇したこと、③鍼灸治療室を縮小したこと、及び④これらの事項に関する団体交渉に誠実に対応しなかったことが、不当労働行為に当たるとして、大阪地労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪地労委は、上記1のうち、①懲戒解雇処分は労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であるとして、懲戒解雇がなかったものとしての取扱いを、②デイケア事業の実施等に関する団体交渉における医療法人の対応は同条2号に該当する不当労働行為であるとして、誠実団交応諾を、並びに③上記①及び②に関する文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却した。
 医療法人及び組合らは、これを不服として、それぞれ再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令主文を変更し、①懲戒解雇処分がなかったものとしての取扱いを命じた部分を取り消し、②団体交渉について、不誠実団交を繰り返さない旨の文書手交を命じたほか、③その余の医療法人の再審査申立てを棄却するとともに、④組合らの再審査申立てを棄却した。
 医療法人及び組合らは、これを不服として、それぞれ東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、医療法人及び組合らの請求をいずれも棄却した。
 本件は、同地裁判決を不服として、組合らが東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁は、控訴を棄却した。
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。  
判決の要旨  1 当裁判所も、控訴人らの請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、〔一部〕補正し、後記のとおり判断を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第4 争点に対する判断」の1及び3に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 組合らは、懲戒解雇処分の前提となる平成11年10月22日付け業務指示が、勤務時間及び休日の点において府労委の勤務時間等に係る平成9年7月30日付け救済命令に違反するものであったため、X1はこの点について応諾できなかったもので、リハビリ業務を行うことという業務命令自体を拒否したわけではないと主張する。
 しかし、①X1は、医療法人から理学療法士の免許を提出するようにとの業務命令を拒否したこと、②〔平成11年〕10月13日にこれを提出したものの、翌14日には国保課〔注;大阪府国民健康保険課〕に赴き担当職員に対し、デイケア事業について医療法人が団交に応じない限り、担当業務に従事しない旨告げたこと、③同月22日付け「毎週木曜日は、7階デイケア室において、リハビリ業務を行うこと」と記載された業務指示書を受領しながら、免許証を提出したこととデイケア事業の担当業務に就くことは別問題だとして、あくまで医療法人に対し団交の開催を求めたこと、④同月29日に医療法人から業務応諾書に記名捺印の上当日中に提出すること、提出しない場合は業務命令に従わないものとして取り扱う旨文書及び口頭で通告されたにもかかわらず、業務応諾書を提出しなかったこと、⑤組合支部が同月30日に医療法人に対し申し入れた抗議文書においても、X1にデイケア事業の担当業務に従事するよう強要していることを強く抗議していることは原判決認定のとおりであり、以上の業務指示を巡る対応に照らすと、X1の行動は客観的には、単に勤務時間や休日の点のみならず、リハビリ業務の担当業務に従事すること自体を拒否したものと解するほかなく、組合らの主張は採用できない。
 他に、組合らは、原判決は、重要な間接事実を認定せず、紛争の背景事情を無視した上、懲戒解雇処分の対象となった行為を現実の労使関係において持つ意味から切り離して孤立的、形式的に評価しているなどと主張し、その認定判断を批難する。
 しかし、原判決の認定した事実以外の事実は、不当労働行為の成否を判断するに当たっては結論に影響しない事柄であり、原判決の事実認定に基づく判断にも誤りは認められない。組合らの主張は、原判決と異なる前提に立ってこれを批難するか又は独自の見解を述べるものにすぎず、いずれも採用できない。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委平成11年(不)第93号・第96号 一部救済 平成14年 5月28日
大阪地裁平成14年(行ウ)第116号 棄却 平成15年 7月 9日
大阪高裁平成15年(行コ)第61号 棄却 平成16年 5月28日
中労委平成14年(不再)第25号・第29号 一部変更 平成21年11月4日
東京地裁平成21年(行ウ)第629号(第1事件)・平成22年(行ウ)第280号(第2事件) 棄却 平成23年12月12日
 
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