労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  住友ゴム工業 
事件番号  最高裁平成22年(行ツ)第127号・平成22年(行ヒ)第139号 
上告人兼申立人  兵庫県(処分行政庁:兵庫県労働委員会) 
同補助参加人  住友ゴム工業株式会社 
被上告人兼相手方  ひょうごユニオン 
決定年月日  平成23年11月10日 
決定区分  上告却下・上告不受理 
重要度   
事件概要  1 Y会社の元従業員2名(X1及びX2)及び死亡した元従業員X3の妻1名(X4)が加入するX組合が、Y会社に対し、Y会社における石綿使用実態を明らかにすることなどを求めて団体交渉に応じるよう求めたが、Y会社がこれを拒否したことが、不当労働行為に当たるとして兵庫県労委に救済申立てがあった事件である。
2 兵庫県労委は、退職者の石綿による健康被害については、労組法に定める団体交渉をもって解決すべき問題ではないなどとし、X組合に加入するY会社の元従業員らはいずれも労組法7条2号の「使用者が雇用する労働者」に該当しないとして、却下した。
 これに対し、X組合は、これを不服として、神戸地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、本件団体交渉要求は、X1及びX2の在職中に発生した事実に起因する紛争に関してされたもので、安全配慮義務を巡る紛争に関するものであるとし、X1及びX2は、「使用者が雇用する労働者」に当たり、Y会社は団体交渉応諾義務を負うが、X3はX組合に加入した事実はないから、X3の遺族X4については、団体交渉応諾義務を負わないと判断し、本件命令は違法であるとして、これを取り消した。
 兵庫県労委は、同地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したが、同高裁は、使用者が、かつて存続した雇用関係から生じた労働条件を巡る紛争を適正に処理することが可能、かつ、社会的にも期待される場合は、元従業員は「使用者が雇用する労働者」であると認められるとし、その要件として、①当該紛争が雇用関係と密接に関連して発生、②使用者が当該紛争を処理することが可能かつ適当、③団体交渉申入れが、雇用関係終了後、社会通念上合理的期間内にされたことを挙げた上で、X1及びX2は、「使用者が雇用する労働者」であり、Y会社には団体交渉応諾義務があるが、X3の遺族X4には、団体交渉応諾義務を負わないとして、控訴を棄却した。
 本件は、同高裁判決を不服として、Y会社が上告及び上告受理申立てを行った後、兵庫県労委が上告及び上告受理申立てを行った事件である。
決定主文  本件上告を却下する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。  
決定の要旨  1 上告について
 上告人が本件上告を提起した時には、既に上告補助参加人が上告を提起していたことが明らかであるから、上告人の本件上告は、二重上告であり、不適法である。
2 上告受理申立てについて
 申立人が本件上告受理の申立てをした時には、既に申立補助参加人が上告受理の申立てをしていたことが明らかであるから、申立人の本件上告受理の申立ては、二重上告受理の申立てであり、不適法である。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
兵庫県労委平成18年(不)第3号 却下 平成19年7月5日
神戸地裁平成19年(行ウ)第97号 全部取消 平成20年12月10日
大阪高裁平成21年(行コ)第11号 棄却 平成21年12月22日
最高裁平成22年(行ツ)第126号・平成22年(行ヒ)第138号 上告棄却・上告不受理 平成23年11月10日
 
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