概要情報
事件名 |
日本ERM |
事件番号 |
東京地裁平成20年(行ウ)第658号 |
原告 |
日本ERM株式会社 |
被告 |
国(処分行政庁 中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
日本ERM労働組合 |
判決年月日 |
平成21年6月3日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
重要命令に係る判決 |
事件概要 |
会社が、①北海道支社の組合員の未払賃金に関する団交申入れを拒否したこと、②北海道支社の組合員全員を解雇したこと、③北海道労委において組合と締結した未払賃金の支払い等に関する和解協定を履行しなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
初審北海道労委は、①団交応諾、②解雇の撤回・バックペイ、③和解協定の不履行の禁止、④これらに関する文書手交を命じたところ、会社はこれを不服として、再審査を申立てた。
中労委は、初審命令の主文を一部変更し、会社に対し、上記和解協定の履行を命じ、その余の再審査申立てを棄却した。
会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものも含めて原告の負担とする。
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判決要旨 |
1 未払賃金の支払い等に係る団交拒否について
会社は、組合が申入れた団交事項は賃金債務が存在せず、経営協議も期待のもてるものではなかったことや、会社代表者の身体的状況から、会社の団交拒否には正当な理由があると主張する。
判決は、組合の要求や主張内容について、会社が組合に対して説明した事実は窺われないこと、会社代表者の身体的状況については、会社が団交を拒否するに当たり、組合に健康上の理由等を告げた事実は窺われないばかりか、北海道労委における調査及び審問並びに本件口頭弁論期日に出頭し、積極的に自らの見解を主張していることから、およそ団交に応じることが不可能な状況にあったとは認め難いとし、会社の主張は採用できないと判断した。
2 組合員の解雇について
会社は、組合員の解雇は北海道支社の営業不振による閉鎖に伴うやむを得ない解雇であって、不当労働行為ではないと主張する。
判決は、組合が平成18年11月17日付け組合結成通知書並びに本件団交申入れに係る要求書をファクシミリ及び配達証明郵便で送付したのに対し、会社は週明けの同月20日には同月17日付けで委員長の解雇通知を自宅にファクシミリで送信し、また、他の組合員に対しても同月20日付け解雇通知を送付している。さらに、会社代表者のが行った同月20日の組合執行委員や組合の代理人に対する組合否認の発言を併せ考えると、組合員の解雇は、組合ないし組合員に対する嫌悪を動機として行われたものと認められ、会社の主張は採用できないと判断した。
3 和解協定の不履行について
会社は、和解協定では未払賃金額が過大に算定されていることや、会社代表者の身体的状況等から、その成立及び内容に瑕疵があると主張する。
判決は、会社代表者の身体的状況に特段の問題が認められないことは前記1のとおりであること、また、その余の主張については、会社は和解協定を締結したのに定められた支払期を徒過し、さらに初審審問期日に再度履行を約束しながらこれを履行せず、再審査及び本件訴訟において和解協定の効力自体を否認しているがその理由はないから、和解協定の不履行は不当労働行為に当たると判断した。
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