概要情報
事件名 |
北海道旅客鉄道(北労組転勤) |
事件番号 |
東京地裁平成19年(行ウ)第598号 |
原告 |
北海道旅客鉄道株式会社 |
被告 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
参加人 |
JR北海道労働組合、個人3名 |
判決年月日 |
平成20年12月8日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
重要命令に係る判決 |
事件概要 |
Y会社が札幌車掌所の車掌である組合員4名に対し、平成16年2月1日付けで釧路運輸車両所勤務を命じたこと(以下「本件転勤命令」という。)が、X組合の組合員であることを理由とした不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入であるとして、X組合らから救済申立てがなされた。 初審北海道労委は、Y会社に対し、転勤を命じる際にX組合の組合員であることを理由としてことさら差別的な取扱いをしてはならないこと及びこのことに関する文書掲示を命じ、その余の救済申立てを棄却した。 Y会社及びX組合らは、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令を取消し、Y会社に対し、X1ら組合員3名に対する本件転勤命令がなかったものとしての取扱い及び原職復帰、このことに関する文書手交及び掲示を命じ、Y会社からの本件再審査申立ては棄却(以下「本件命令」という。)した。 本件は、Y会社が本件命令を不服としてその取消を求めた事案である。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
① 本件転勤命令は、経営判断からの上から合理的な目標を達成するという業務上の必要性があり、そのための合理性ある本件基準により人選をしたという評価が可能である一方で、X1らが、X組合の組合員であることの故をもって行われたものであるとの推認が十分に可能となる事情が存する。Y会社が経営判断から合理的な目的を遂行しようとしたのであるとすれば、本件転勤命令の実施実態はあまりに拙劣かつ唐突であると評価でき、本件転勤命令後も、その目的を達成しようとする形跡がないことを考えれば、本件転勤命令という不利益な処分は、不当労働行為意思のもとで、X組合の組合員であるが故に行われたことが決定的な理由であったと認めることができるものと結論付けることができる。 ② 上記のとおり、本件転勤命令は、労働組合法7条1号が禁じる不利益取扱いに該当し、X組合からの組合員の流失と対立組合への新規採用者等の流入により、対立組合の優勢かとX組合の弱体化という効果をもたらしたと認められるから、X組合に対する支配介入にも該当する。 そうすると、 本件命令は適法であり、Y会社の請求には理由がないからこれを棄却する。
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