概要情報
事件名 |
塚本学院 |
事件番号 |
大阪地裁平成19年(行ウ)第56号 |
原告 |
学校法人塚本学院 |
被告 |
大阪府(処分行政庁:大阪府労働委員会) |
被告補助参加人 |
大阪私学教職員組合 |
判決年月日 |
平成20年6月25日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
X組合が、Y法人がX組合の組合員である教員5名に対して行った配置転換及び同配置転換を含む事項に係るY法人のX組合に対する交渉態度のいずれもが不当労働行為に当たるとして大阪府労委に救済を申立てたところ、大阪府労委は、①平成15年4月1日付け配転がなかったものとして取り扱う、②誠実団交応諾、③文書手交を命じた(以下これら命令を「本件命令」という。)。 本件は、Y法人が、本件命令の取消しを求めて提訴したものである。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,補助参加によって生じた費用を含めて原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
① 争点1(本件配転の不当労働行為性の有無)について 認定した事実に本件各配転後の交渉経緯を総合すると、同各配転は、Y法人がX組合又は分会の活動を嫌悪して、組合員5名に対し、X組合及び分会の組合員であることを理由として、労働条件等において不利益な取扱いを行い、また、分会の労働組合としての運営に支配介入したものと推認され、同認定を覆すに足りる証拠はない。 したがって、Y法人が組合員5名に対して本件配転をしたことは、不利益取扱い及び支配介入として、不当労働行為に当たる。 ② 争点2 (本件各配転等に係る組合員の労働条件に対するY法人の交渉態度が、団交拒否に当たるか否か。)について 本件要求書の中には、いわゆる義務的団交事項にあてはまらないものも含まれていた。しかし、本件各配転の撤回のほか、ベースアップ、夏期一時金に関する要求、組合員であることを理由とする昇格差別等、組合員の労働条件に関する個別、具体的な事項が相当程度含まれている。そうすると、Y法人は少なくとも本件要求書に挙げられた事項のうち、各組合員の同労働条件に関する要求事項について、団体交渉に応じる義務があったとするのが相当である。 また、本件各配転後の交渉経緯によれば、Y法人が本件要求書に関する団交に応じなかったのは、組合らに対する嫌悪の情に基づくものであったと推認され、同認定を覆すに足りる証拠はない。 以上によれば、Y会社が、本件要求書について、組合員の労働権に関する事項に関する団交に応じなかったことは、正当な理由なく団交を拒否したものとして、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。 なお、Y法人は、平成15年11月22日、本件要求書の要求事項について3時間にわたる団交に誠実に応じた旨主張するが、Y法人は同日の団交において、Y法人の見解を一方的に伝えたものであることが認められ、誠実に団交を行ったとは認めがたく、Y法人の同日の団交をもって、本件救済申立てにかかる救済の利益が失われた旨の主張は理由がない。
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