概要情報
事件名 |
中延学園 |
事件番号 |
東京地裁平成19年(行ウ)第69号 |
原告 |
朋優学院教職員組合 |
被告 |
国(裁決行政庁 中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
学校法人中延学園 |
判決年月日 |
平成20年2月20日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
X組合は、Y法人が、①平成13年9月28日及び平成14年3月8日付けで申入れた団体交渉に応じなかったこと、②X組合の組合員であるX1を懲戒事由がないのに戒告処分としたことが、いずれも不当労働行為に当たるとして、東京都労委に対し救済を申入れたところ、同委員会はX組合の救済申立てを一部容認して救済命令を発した。 Y法人がこの命令に不服として再審査を申し立てたところ、中労委は上記救済命令を取消し、X組合の救済申立てを棄却する内容の命令(以下「本件命令」という。)を発した。 本件はX組合が本件命令を不服として、その取消しを求めた事案である。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,参加により生じた費用を含め,原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
(争点1) Y学園の平成14年3月8日日付け団体交渉の申入れへのX組合の対応が労組法7条2号の団体交渉拒否に当たるか。 ① 使用者が団体交渉を拒否したかどうかは、具体的事情に照らし、使用者が労働組合等との合意達成の可能性を模索したかどうかで判断すべきであり、団体交渉を申し入れられた使用者が、団体交渉の方式等の条件をつけて団体交渉を行わなかったというだけでは団体交渉を拒否してとはいえないというべきであり、当該条件に従って団体交渉を行うか、別の方法を提案してそれによって団体交渉を行うかは、労使双方の折衝の過程におけるやりとりと解される限り、それをもって直ちに団体交渉拒否とはいえないというべきである。 ② Y学園は、平成14年4月15日の段階においては、労働協約の締結のための団体交渉については、三者合同交渉を行うか、単独の団体交渉を行うが、X組合と折衝している過程にあったというべきあるし、その後、単独に団体交渉を行うことを選択して労働協約の締結に至っていること、労働協約の締結以外の要求事項については、X組合との間で具体的な協議を行い、要求にも一定の理解、譲歩を示していることから、本件団体交渉申し入れを拒否しているとはいえない。したがって、本件命令は適法であるというのが相当である。 (争点2) 本件戒告処分が、労組法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に当たるか。 ③ Y学園がX組合の組合員であるX1主任に対し、国語科の入学試験問題に誤りがあったこと、誤った問題訂正を指示したこと、教科書需要票の記載を誤り、教科書の発注を誤ったことに関し、本件戒告処分を行ったことには理由があるというべきである。 入試問題の誤り、間違った訂正指示により、受験生保護者に重大な影響を与えたことは容易に推察されるところであり、誤った発注による教科書を購入した生徒及び保護者のほか、出版社にも重大に影響を与えたと推察され、本件戒告処分が懲戒処分に中で最も軽い戒告であることからすれば、不当に重い処分とは解し難く、Y学園がX組合を弱体化する意図で本件懲戒処分をしたものとは考え難い。 また、X1が国語の主任という教科の責任者の地位にあることからすれば、その職務 上の義務違反を問われることもやむを得ない。 したがって、本件懲戒処分は、不利益扱いにも支配介入にも当たらない。
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