概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(千葉動労勝浦) |
事件番号 |
東京地裁平成18年(行ウ)第515号 |
原告 |
国鉄千葉動力車労働組合 |
被告 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
参加人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成20年2月18日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
X組合は、Y会社が、①勝浦運転区を廃止して鴨川運輸区を設置したこと、②その際に勝浦運転区に所属していたX組合の組合員らを配置転換したことは、不当労働行為に当たるとして、千葉県労委に救済を申立てた。千葉県労委は、いずれも不当労働行為に当たらないとして申し立てを棄却したところ、これを不服としてX組合からの再審査申立てがなされ、中労委は本件再審査申立てを棄却した(以下、「本件命令」という。)。 本件は、X組合が、本件命令を不服としてその取消しを求めて提訴した事案である。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,参加によって生じた費用を含め,原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
争点(勝浦運輸区廃止及び鴨川運輸区設置ないしこれに伴う人事異動の不当労働行為性について) ① Y会社は、全社的に業務運営の効率化と系統意識の払拭を目的とする方策に取り組んできており、その一つとして、運転士の所属する現業機関と車掌の所属する現業機関を統合して運輸区を設置し、増加させる方策をとっていること、その一環として勝浦運輸区と千葉車掌区安房鴨川地区を統合して鴨川運輸区を設置したが、その設置の理由には不合理な点は見当たらない。そもそもどのような現業機関を設けるか、どこに運輸区を設置するかという問題は、基本的にはY会社の経営判断に委ねられるべきものであるところ、Y会社の鴨川運輸区設置の判断に不合理な点は存しないというべきである ② 鴨川運輸区に配属する本線運転士について、Y会社の人選方法に不合理な点は見当たらない。また、X組合の組合員の異動についてみると、事前に異動先希望を聞かれた上、概ね希望どおりの異動となっており、希望先以外への異動になった者についても通勤時間が極めて長時間になったわけではなく、都市手当等の経済的手当が施されたことが認められ、X組合の組合員に特に不利益な異動が行われたとは認められない。③ 争いのない事実及び認定事実によれば、Y会社とX組合は対立的な関係にあると推認されること、鴨川運輸準備区に発令された本線運転士のほとんどが訴外別組合所属の組合員であり、勝浦運転区に所属していたX組合の組合員が自分たちが排除されるのではないかと不安を抱いたと推認されること、勝浦運転区の廃止等が結果としてX組合の組織や組合活動に一定の影響を与えてことなどが認められるが、これらから直ちにY会社に勝浦運転区の廃止、鴨川運転区の設置、それに伴う人事異動に乗じてX組合を排除、弱体化させる意図があったとまで認めることは困難であり、Y会社の不当労働行為を認めることはできない。 争点(本件命令の手続的瑕疵の有無について) ④ 本件再審査手続では、平成12年12月8日に審問を終結し、平成18年4月5日付けで本件命令が発せられ、その間に審査委員が交代したことが認められるが、労働委員会規則41条の8第2項、56条は、その文言からして、労働委員会に対して、審問再開義務、審問再開申出 の機会付与義務を課す趣旨とは解し難く、それは、審問終結後約5年4か月を経て命令が発せられたとか、その間に審査委員が交代したからといって、にわかに義務付けられたと解する根拠もなく、本件命令が違法であるということはできない。
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