概要情報
事件名 |
横浜学園 |
事件番号 |
東京地裁平成18年(行ウ)第408号 |
原告 |
個人X |
被告 |
国(処分行政庁 中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
学校法人横濱學園 |
判決年月日 |
平成19年2月15日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が、教諭Xを学園の秩序、信用を著しく損なったことを理由に解雇したこと等が、不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審神奈川地労委は救済申立てを棄却し、中労委もこれを維持したところ、Xはこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、Xの請求を棄却した。 |
判決主文 |
1.原告の請求を棄却する。 2.訴訟費用(補助参加の費用を含む。)は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
(争点) 組合員Xの解雇は、Xが労働組合の正当な行為をしたことの故をもって行われた不利益取扱い又は労働組合の運営に対する支配介入(Xの組合活動を嫌悪し、労働組合の拡大を阻止するために行われたもの)かどうか。 (理由) ① Xは、本件解雇がXの組合活動を嫌悪し、労働組合活動の拡大を阻止するために行われたものであり、不利益取扱い及び支配介入に当たると主張するが、Xには従前から問題のある発言が多くみられたところ、生徒からXの問題行為を直訴する内容の作文が提出されたことを契機に、Y学園はXに対して担任委嘱を取り消したが、これに納得しないXが新担任が行う授業中に大きな混乱を招いたこと、その後Y学園が出勤停止を命じたにもかかわらず、Xはこれに従わず、さらに校内を混乱させる等が認められ、これらの行為は解雇通知書に記載されたY学園が定める就業規則所定の懲戒解雇事由及び服務規律違反に該当することから、Y学園がXに対して本件解雇を行ったと認められるとされた例。 ② Xは、Y学園が通知した解雇理由該当事実に組合ニュース配付が記載されていることから、本件解雇は労働組合の阻害を目的とするものであると主張するが、XはY学園から組合ニュースを配布することは認められないと警告されたにもかかわらず配布を繰り返しており、これは就業規則に反するばかりでなく、Xが1人で発刊した後の組合ニュースの掲載記事の内容は、担任外し等を理由とした別件訴訟に関する記事などXとY学園との係争にかかわるものが大半を占めており、他の教職員に組合加入を勧奨する記事の掲載は全くなかったことが認められることから、解雇事由該当事実に組合ニュース配布を記載したことをもって、本件解雇が労働組合の阻害を目的としたとはいえないとされた例。(労働組合が、組合員の脱退等により所属組合員が1名となった場合には、労働組合としての団体性を失うものの、その場合には、組合加入を勧誘して団体性を復活を目指す活動の限りにおいては、労組法7条の保護を受けると解されるが、本件はそれに該当しないとされた例) ③ 他に、本件解雇がXの労働組合活動を嫌悪し、労働組合活動の拡大を阻止するために行われたと認めるに足りる証拠はなく、右記①及び②によれば、本件解雇が不当労働行為に当たらないとして、Xの救済申立てを棄却した神奈川県労働委員会の命令を維持して再審査申立てを棄却したは本件命令は適法であるから、その取消しを求めるXの請求は理由がないとされた例。 |