概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道(委託業務打切り) |
事件番号 |
東京地裁平成15年(行ウ)第568号
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原告 |
全大阪金属産業労働組合 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成17年 3月30日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
(1)会社業務を受託していた申立外会社が、会社からの委託業務契約の打切りを理由に会社で勤務する分会員を解雇したこと、及び会社に対し団体交渉を申し入れないとの誓約を拒否したことを理由に分会長を出勤停止にしたこと、(2)会社が、分会員の雇用確保等についての団体交渉を拒否したこと、及び申入れの団体交渉開催予定日に助役等に分会員の動静を監視させたことが不当労働行為に当たるとして争われた事件で、大阪府労委は、会社は労働組合法上の使用者であるとはいえないとしていずれの申立ても却下し、中労委もこれを維持して再審査申立 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
4900 請負・委任・派遣契約
本件入替誘導業務は、会社と訴外会社の間の請負契約によって定められており、会社が一方的に業務内容を支配、決定していたわけではないというべきであること、これを補完するため、毎日の業務に関して作業主務者に対して指示を行っているものの、具体的な作業内容については、作業主務者の裁量的な判断に委ねられていたこと、具体的な業務分担等全般的な管理は、所長又はY1主任らが独自に決めていたこと、これらの判断、決定に会社は関与していないこと、手待ち時間に同業務とは無関係の作業に独自の指揮系統の下従事していたこと等をかんがみると、本件業務に関して出張所従業員が会社の指揮命令の下に置かれていたとは認められず、また、訴外会社は、独自の判断で従業員の採用、配置転換を行っていること、出張所従業員の賃金を自らの賃金規定に基づき賃金を支給するとともに、昇給や賞与を決定する等賃金の決定を行っていたこと、平成10年夏季及び年末一時金並びに同年賃上げについて、分会との間で団体交渉を開催し、両者間で妥結していること等をかんがみると、基本的な労働条件等について、会社が部分的とはいえ雇用主である訴外会社と同視できる程度に現実かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったと認めることはできないとされた例。
4900 請負・委任・派遣契約
運転適性試験等は、法令で定められている検査であって、これを受検する従業員を訴外会社が指定していたこと、会社は運転適正検査等を訴外会社から委託されて有料で実施しているに過ぎないことからすれば、会社が運転適正検査等を利用して出張所従業員の採用や配置を支配していたとみることはできないし、過去に一度受検対策を手伝ったからといって、採用等につき支配していた根拠とすることはできず、他に会社が出張所従業員の採用等の決定に関与していたと認めるに足りる証拠ないとされた例。
4900 請負・委任・派遣契約
所長又はY1主任は、出張所従業員それぞれの時間外労働を勤務日ごとに本社に伝達していたほか、月ごとに出張所従業員各人の出勤状況と時間外労働の集計表を作成して本社に提出していたこと、出張所従業員は、時間外労働を会社従業員から個々に直接命じられることはなかったと認められること、休日出勤に出張所従業員のうちの誰が従事するかについては、出張所内で独自に決定していたことが認められ、さらに、車両の検査、修理等が遅れれば、これに連動して出張所勤務時間を超えて本件入換誘導業務に従事することになるということは、本件請負契約の内容として織り込まれているものと考えられることを考慮すると、会社が勤務時間等につき、雇用主と同程度にこれを管理し、現実的かつ具体的に支配、決定しているとまでみることはできないとされた例。
4900 請負・委任・派遣契約
1106 契約更新拒否
本件出勤停止処分については、訴外会社が意思決定を行ったものであり、会社が、同処分について訴外会社の意向を示したかどうかはともかく、また本件請負契約が更新されなかったことが本件解雇に事実上の影響を与えているとしても、このことは、訴外会社の企業経営の結果として生じたのであって、会社による本件契約の打切りの意図が分会員を解雇することにあったと認めるに足りる証拠はないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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