事件名 |
神戸港埠頭公社 |
事件番号 |
神戸地裁平成10年(行ウ)第6号
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原告 |
神戸港埠頭公社労働組合 |
被告 |
兵庫県地方労働委員会 |
被告参加人 |
財団法人神戸港埠頭公社 |
判決年月日 |
平成12年10月18日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合員X1に組合からの脱退勧奨を行ったこ
と、(2)組合に加入した組合員X2を差別取扱いしたこと、(3)執行委員長X3の公社の登記問題等に関するビラ配布や関係
機関の訪問に対し、同人に懲戒命令等を発し、さらに懲戒免職処分に付したことが不当労働行為であるとして争われた事件であ
る。
初審兵庫地労委(平4不2・6、平9・11・18命令)は、(1)については、脱退干渉に当たらないとして、(2)につい
ては、これが公社の指示等によるとの疎明はないとして、(3)については、X3の行為は正当な組合活動の範囲を逸脱したもの
である等として、いずれも不当労働行為に当たらないとして救済申立てを棄却した。組合はこれを不服として行政訴訟を提起して
いたが、神戸地裁は、組合の請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用及び参加費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2621 個別的示唆・説得・非難等
公社幹部の行為は、従前から借金の返済に苦慮していた組合員に対し、忠告若しくは助言したにとどまり、組合からの脱退を直接
又は間接に勧奨するものとは言えないこと、また、組合へ加入するか否かは、組合員自身の意思で決めるように明言していること
等から、組合員に対する脱退勧奨を認めなかった本件命令に違法はなく、組合の主張は認められないとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
課長代理らの組合員に対する行為は、その個人的感情からなされた行為にとどまるものというべきであり、また、そのうち起案・
決裁とばしに関しては、そもそも嫌がらせや不当差別とも認定しがたいのであるから、それらが公社の組合に対する不当労働行為
には当たらないとされた例。
1604 その他
公社が、組合員に対して発した本件職務命令は、正当な組合活動を阻害するものではなく、組合員が配布したビラの記載内容が、
神戸市や神戸地方法務局等に対する公社の信用を失墜させるものであることは、明らかに公社の正当な利益を保護するためのもの
であるから、不当労働行為に当たらないとされた例。
1400 制裁処分
組合及び組合員の公社の接遇内容を公表した意図は、接遇の是正や団結強化のためというより、接遇を公表する旨予告することに
よって、その相手方に対し組合ないし組合員の意向に沿った行動を採らせることを目的としたものと推認するのが相当であり、正
当な組合活動とは認め難く、組合員に対する本件警告書の交付はなんら正当な組合活動を阻害するものではなく、不当労働行為に
当たらないとされた例。
1400 制裁処分
組合員の登記問題について阪埠労で行っていたビラ配布や関係機関への訪問等の活動は、守秘義務違反であるとともに、公社に対
する信用を毀損するものであり、組合結成後、本件職務命令を受けながら、命令に違反して不相当な記載をしたビラを配布し、公
社の信用を毀損する行為を繰り返していたのであって、これらは正当な組合活動であるとも正当な言論活動であるとも認められ
ず、本件免職処分は不当労働行為に当たらないとされた例。
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業種・規模 |
水運業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集35集610頁 |
評釈等情報 |
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