事件名 |
東海旅客鉄道(新幹線鉄道事業本部) |
事件番号 |
東京高裁平成12年(行コ)第258号
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控訴人 |
東京都地方労働委員会 |
控訴人参加人 |
ジェイアール東海労働組合 |
被控訴人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成13年 4月19日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)争議行為の指令を受けた組合員に対する「の
ぞみ」への乗務拒否、(2)その間の賃金カット及び勤務指定場所までの移動費用の自己負担が争われた事件である。
東京地労委(平成5年(不)第25号、平成9・4・15決定)が、組合員に支払わなかった賃金及び乗務手当の支払い、組合
員が負担した移動費用の支払いを命じたところ、これを不服として会社が行政訴訟を提起した。
原審の東京地裁(平12・8・2判決)は、東京地労委の命令を取消したところ、東京地労委が控訴したが、東京高裁は、控訴
を棄却し、原審を支持した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用中、控訴人補助参加人に生じた費用は同補助参加人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
0412 順法闘争・残業拒否
本件減速闘争に基づく減速走行は、運転時の具体的状況とかかわりなく、余裕時分を、その設定目的及び会社からの指示から逸脱
して、組合員運転士ないし組合の管理下に置くことになるものであるから、その労務の瑕疵は重大であって、本件減速闘争への参
加を指令された組合員運転士の乗務申入れが債務の本旨に従った労務の提供とはいえないところであり、そのことは本件減速闘争
の目的が「のぞみ」号の安全確保を確実にするためであったとしても異なるものではないから、会社がした本件労務の受領拒否は
正当であるとされた例。
0412 順法闘争・残業拒否
組合が争議行為として行おうとした本件減速走行は、会社の有する余裕時分についての管理権を排除し、これを組合員運転士ない
し組合の管理下に置こうとするものであって、会社の労務指揮権を侵害するものであるから、憲法二八条によって保護される団体
行動権の行使として保護される余地はないとされた例。
1102 業務命令違反
会社が乗務を拒否し、賃金カット等をしたのは、本件減速闘争への参加を指令された組合員運転士による乗務の申入れが債務の本
旨に従った労務の提供といえないことによるものであって、組合の結成と会社との紛争、本件減速闘争に至る労使交渉の経過等の
事情を考慮しても、乗務拒否及びこれに伴う賃金カット等が組合に対する団結権等の否認ないし組合に対する嫌悪を決定的動機と
して行われたものであると認めることはできず、不当労働行為に当たるとすることはできないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集186頁 |
評釈等情報 |
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