事件名 |
日本鋼管京浜製作所 |
事件番号 |
東京高裁平成10年(行コ)第97号
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控訴人 |
Y1 外16名 |
被控訴人 |
神奈川県地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
日本鋼管株式会社 |
判決年月日 |
平成11年11月16日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)「作業長会」及び「工長会」が組合支部役員選挙の候
補者選考過程に関与したこと、(2)「労担班長」Y1が組合支部役員選挙の候補者選考過程において人事上の調整に関与したこ
とが争われた事件で、神奈川地労委の棄却命令(6・4・27決定)を横浜地裁が支持した(10・4・28判決)ため、これを
不服として個人申立人が控訴していたが、東京高裁は控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用(補助参加によって生じた訴訟費用を含む。)は控訴人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
6130 取消訴訟と再審査申立ての関係
申立人らが、地労委の棄却命令につき再審査申立て後に並行して本件取消訴訟の提起をも行ったことは、二重起訴の禁止及び労組
法二七条六項、七項、一一項の趣旨から本件訴えは不適法として却下されるべきとの会社主張を、労働者が地労委の処分を争う場
合は使用者の場合と異なり、労組法二七条六項のような特別規定がなく準用もされていないので、同条項の反対解釈から労働者は
取消訴訟の提起と再審査申立てを並行して行うことができると判断して斥けた原判決が支持された例。
2624 組合人事への干渉
労担班長Y1の組合役員選挙候補者選考への関与について、Y1がいつ、どこで、いかなる行為により製銑・コークス両支部の支
部長候補者選考に関与したか明らかでなく、Y1が何らかの意向を示す等して何らかの影響力を行使したとの事実を認める証拠も
ないことから、直ちにY1による組合運営に対する介入行為があったと認めることはできないとして、地労委の棄却命令を支持し
た原判決が支持された例。
2624 組合人事への干渉
組合においては、申立人らの「権利闘争をすすめる会」と「創友会」とが激しい対立選挙を行っている状況下で、会社が「創友
会」ともに候補者選考をしたことについて、これは優遇措置で対立勢力「権利闘争をすすめる会」の組合内での影響力を減ずる行
為であるとの組合主張を、会社介入は前記(2)の労担班長Y1の関与以外は認めるに足る証拠がなく、Y1の関与も役員選挙介
入行為と評価できないとして斥け、地労委の棄却命令を支持した原判決が支持された例。
2624 組合人事への干渉
初審命令が申立てを棄却した平成4年第12期役員選挙への会社介入について、昭和57年エネルギーセンター第7期役員選挙に
おける不当労働行為が、その後も継続的になされた事実を認める証拠がなく、労担班長Y1の関与も組合運営介入と認められない
ことから、右第12期役員選挙に関する地労委の棄却命令を支持した原判決が支持された例。
2624 組合人事への干渉
平成4年2月5・6日頃に労担班長Y1が製銑支部長X1及びコークス支部長X2と面談したことは、(a)組合役員選挙の創友
会の両支部長候補者は既に2月3日の各選考委員会で正式決定しており、(b)その後選任の副支部長候補につきX1とX2は
Y1に何ら話しておらず、(c)X2が、前任支部長Y1にX1の支部長退任挨拶をさせる為儀礼上訪れたことは不自然ではない
こと等から、Y1が同会候補者の相談協議・意向聴取を異議を留めず承認して組合役員選挙に関与した支配介入行為とは認められ
ないとされた例。
2624 組合人事への干渉
労担班長Y1が、平成4年3月13日の創友会の製銑・コークス両班の5者合同会議で組合の両支部長の同会推薦候補者の最終決
定に参加し、報告会兼決起集会で確認・確定させたことは組合役員選挙関与の支配介入との組合主張につき、(a)5者には労担
班長や非組合員の職制は入らず、Y1は右会議に出席していない、(b)Y1は懇親会に出席して春闘時期なので会社の経営状況
等を話したに過ぎない、(c)製銑班の5者合同会議がコークス班と合同開催され、懇親会と一体をなし、全体として創友会推薦
候補者を最終決定したとは認められないとして斥けた例。
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業種・規模 |
鉄鋼業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集34集477頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2000年2月10日 962号 58頁
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