事件名 |
誠光社 |
事件番号 |
大阪高裁平成 9年(行コ)第60号
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控訴人 |
大阪府地方労働委員会 |
控訴人参加人 |
総評全国一般大阪地連誠光社労働組合 |
被控訴人 |
株式会社誠光社 |
判決年月日 |
平成10年 5月26日 |
判決区分 |
一審判決の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)地裁に破産申立てを行った上、申立人組合員
全員を解雇したこと、(2)組合に対し、(1)に関する団交を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、大阪
地労委は、(1)につき解雇がなかったものとしての取扱い、地裁の破産宣告に基づく破産管財人による解雇までのバックペイ、
(1)及び(2)についての文書手交を命じた。会社はこれを不服として大阪地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁が会社の
請求を一部認容し、大阪地労委の解雇がなかったものとしての取扱い及びバックペイ並びに文書手交を命じる救済命令の名宛人
(会社及び破産管財人)の一部(会社)を取り消したため、同地労委が控訴を提起したが、大阪高裁は、大阪地裁判決を取り消
し、会社の破産終結による消滅により訴訟が終了したことを宣言した。 |
判決主文 |
1 原判決を取り消す。
2 本件訴訟は、平成9年9月17日に被控訴人の破産終結による消滅により終了した。 |
判決の要旨 |
8400 その他の小分類に属さない裁判
大阪地労委の会社及び会社破産管財人に対する組合員の解雇がなかったものとしての取扱い及びバックペイ並びに文書手交命令
を、会社を名宛人とする部分を取消し、文書手交取消しの請求を棄却した原審(大阪地裁)の判決(平成9年10月29日言渡
し)について、会社は同6年8月4日に破産宣告を受け、原審口頭弁論終結後の同9年9月17日に破産終結、同月19日に登
記・商業登記簿閉鎖されたことが明らかであるから、残余財産がありその精算法人としてなお存続が認められない限り、会社は破
産終結の日に消滅(破産法四条)し、本件訴訟は被控訴人会社が消滅したことによって当然に終了するとされた例。
8400 その他の小分類に属さない裁判
本件訴訟はその全体が、被控訴人会社が破産終結の日に消滅したことによって、原判決言渡前にすでに終了していたことになるか
ら、それを看過して同会社の請求の実体について判断した原判決は違法であり、原判決言渡前に救済命令の名宛人がすでに消滅し
ているため、被控訴人会社の存在を前提にその請求の実体についての判断を示す原判決はなされるべきではなかったことを確認す
る趣旨で原判決を取消し、本件訴訟は破産終結の日に終了した旨を宣言するとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集310頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1999年8月 956号 34頁
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