事件名 |
新日本交通 |
事件番号 |
松山地裁平成 6年(行ウ)第3号
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原告 |
新日本タクシー有限会社 |
原告 |
新日本観光ハイヤー有限会社 |
原告 |
新日本交通事業協同組合 |
原告 |
新日本交通有限会社 |
原告 |
新日本自動車交通有限会社 |
原告 |
新日本第一交通有限会社 |
被告 |
愛媛県地方労働委員会 |
被告参加人 |
自交総連愛媛地方本部 |
判決年月日 |
平成10年 3月31日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、協同組合及び新日本タクシー外4社が、(1)組合からの団
交申入れに対し、イ.被申立人らは運賃改定が実施されていないことを、ロ.協同組合は団交の当事者適格がないことを、ハ.新
日本タクシー外4社は団交拒否問題が労働委員会に係属中であることを、及びニ.上部組合書記長が出席することをそれぞれ理由
として応じなかったこと、(2)運賃改定後、申立支部組合員に対してのみ長期間に渡り、イ.賃金の暫定払いを続け、ロ.賞与
を支給しなかったことが争われた事件で、愛媛地労委は、(1)のニ.については上部組合役員の出席を理由とする団交拒否の禁
止を、(2)のイ.については運賃改定日以降新賃金協定発行日の前日まで「3年協定」による賃金の支払い及び暫定払い額との
差額の支払いを、(2)のロ.については5年上期・下期及び6年上期賞与について「4年協定」により算出した額の支払い
(各々の起算日以降支払い済まで年5分加算、死亡したX1については遺族へ支払い)を命じ、併せて文書手交((1)のニ.、
(2)のイ.、ロ.に関して)を命じた。協同組合及び新日本タクシー外4社はこれを不服として、松山地裁に行政訴訟を提起し
ていたが、同地裁は、救済命令を一部取消し、その余の請求は一部却下し、一部棄却した。 |
判決主文 |
1 原告新日本タクシー有限会社の請求について
1 次の各訴えを却下する。
(1)本件救済命令(補助参加人を申立人、原告らを被申立人らとする愛媛労委平成5年[不]第2号不当労働行為救済申立事件
につき、被告が平成6年8月19日付けでした救済命令)主文第1項の取消を求める部分
(2)本件救済命令主文第2項のうち、「平成7年7月25日以降、原告新日本タクシー有限会社と補助参加人との間で新たな賃
金協定が発効する日の前日まで、補助参加人との平成3年10月9日付け賃金協定に基づいて、補助参加人組合員に賃金の支払を
なすべき旨を命じた部分」及び「平成5年7月25日以降の賃金につき、右賃金協定により算出した金額と暫定払して実際に支給
した金額との差額を、補助参加人組合員に支払うべき旨を命じた部分」の取消を求める部分
2 本件救済命令のうち、次の各部分を取り消す。
(1)主文第2項のうち、「平成5年7月1日から7年7月24日まで、補助参加人との平成3年10月9日付け賃金協定に基づ
いて、補助参加人組合員に賃金の支払をなすべき旨を命じた部分」及び「平成5年7月1日から平成7年7月24日までの賃金に
ついて、右賃金協定により算出した金額と暫定払して実際に支給した金額との差額を、補助参加人組合員に支払うべき旨を命じた
部分」
(2)主文第3項のうち、「平成5年下期及び平成6年上期賞与について、補助参加人との平成4年5月29日付け賞与協定によ
り算出した金額に、平成5年下期賞与については平成6年1月1日、平成6年上期賞与については平成6年7月1日をそれぞれ起
算日として、支払済みに至るまで、年5分の金員を付加して補助参加人組合員に支払うべき旨を命じた部分」
3 次の各請求を棄却する。
(1)本件救済命令主文第2項のうち、「平成5年4月23日から同年6月30日まで、補助参加人との平成3年10月9日付け
賃金協定に基づいて、補助参加人組合員に賃金の支払をなすべき旨を命じた部分」及び「平成5年4月23日から同年6月30日
までの賃金について、右賃金協定により算出した金額と暫定払して実際に支給した金額との差額を、補助参加人組合員に支払うべ
き旨を命じた部分」の取消を求める部分
(2)本件救済命令主文第3項のうち、「平成5年上期賞与について、補助参加人との平成4年5月29日付け賞与協定により算
出した金額に、平成5年7月1日を起算日として支払済みに至るまで、年5分の金員を付加して補助参加人組合員に支払うべき旨
を命じた部分」の取消を求める部分
(3)本件救済命令主文第4項の取消を求める部分
2 原告新日本交通有限会社、原告新日本自動車交通有限会社、原告新日本第一交通有限会社、原告新日本観光ハイヤー有限会社
の各請求について、
1 本件救済命令のうち、次の各部分を取り消す。
(1)主文第2項のうち、「平成5年7月1日以降、右原告4社と補助参加人との間で新たな賃金協定が発効する日の前日まで、
補助参加人との平成3年10月9日付け賃金協定に基づいて、補助参加人組合員に賃金の支払をなすべき旨を命じた部分」及び
「平成5年7月1日以降の賃金につき、右賃金協定により算出した金額と暫定払して実際に支給した金額との差額を、補助参加人
組合員(X1については、その相続人)に支払うべきことを命じた部分」
(2)主文第3項のうち、「平成5年下期及び平成6年上期賞与について、補助参加人との平成4年5月29日付け賞与協定によ
り算出した金額に、平成5年下期賞与については平成6年1月1日、平成6年上期賞与については平成6年7月1日をそれぞれ起
算日として、支払済みに至るまで、年5分の金員を付加して補助参加人組合員(X1については、その相続人)に支払うべき旨を
命じた部分」
2 次の各請求を棄却する。
(1)本件救済命令主文第1項の取消を求める部分
(2)本件救済命令主文第2項のうち、「平成5年4月23日から同年6月30日まで、補助参加人との平成3年10月9日付け
賃金協定に基づいて、補助参加人組合員に賃金の支払をなすべき旨を命じた部分」及び「平成5年4月23日から同年6月30日
までの賃金について、右賃金協定により算出した金額と暫定払して実際に支給した金額との差額を、補助参加人組合員(X1につ
いては、その相続人)に支払うべき旨を命じた部分」の取消を求める部分。
(3)本件救済命令主文第3項のうち、「平成5年上期賞与について、補助参加人との平成4年5月29日付け賞与協定により算
出した金額に、平成5年7月1日を起算日として、支払済みに至るまで、年5分の金員を付加して補助参加人組合員(X1につい
ては、その相続人)に支払うべき旨を命じた部分」の取消を求める部分
(4)本件救済命令主文第4項の取消を求める部分
3 原告新日本交通事業協同組合の請求について
1 本件救済命令のうち、主文第4項1の部分を取り消す。
2 次の各請求を棄却する。
(1)本件救済命令主文第1項の取消を求める部分
(2)本件救済命令主文第4項2ないし5の取消を求める部分
4 訴訟費用のうち、参加によって生じた部分はこれを5分し、その4を原告らの、その余を補助参加人の各負担とし、参加に
よって生じた部分以外の費用はこれを5分し、その4を原告らの、その余を被告の各負担とする。 |
判決の要旨 |
6140 訴の利益
団交拒否の禁止を命ずる労委命令主文について、現時点ではその拘束力を喪失し、会社はその命令に従うべき義務を負っていない
から、この主文の取消を求める訴えの利益は消減したとされた例。
2400 その他
タクシー運賃の値上げが正式に認可されていないからといって、これが団交拒否の正当な理由にはならないとされた例。
2115 上部団体存在否認
組合役員が参加すること等を理由に団交を拒否したことは、正当な理由なく団交を拒否したものと評価せざるを得ないとされた
例。
1201 支払い遅延・給付差別
組合員に対しては、運賃値上実施時から本件命令発令時までの約1年4か月もの長期にわたり、賃金暫定払制度を適用し、低額な
賃金を支払い続けたことは、七条一号の不当労働行為に該当するとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
組合員に対しては、平成5年上期賞与支給期限から本件命令発令時までの約1年2か月もの長期にわたり、賞与を支給しなかった
ことは、七条一号の不当労働行為に該当するとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集119頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年9月 942号 78頁
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