概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(秋田団交) |
事件番号 |
秋田地裁平成 1年(行ウ)第3号
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原告 |
東日本旅客鉄道 株式会社 |
被告 |
秋田県地方労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合秋田地方本部 |
判決年月日 |
平成 5年 3月 1日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社の支店が、出向に関する組合地本の団交申入れを、当該事項は本社と組合本部間の交渉事項であること等を理由として拒否したことが争われた事件で、秋田地労委は、出向に関する団交応諾を命じ、陳謝文の手交及び掲示については棄却したところ、救済命令を不服として会社から行訴が提起され、秋田地裁は、団交事項の一部については本社と組合本部間の交渉事項であるとして、救済命令の一部を取り消し、その余の請求は棄却した。 |
判決主文 |
1 被告が、秋田地労委昭和62年(不)第2 号-1 事件について、平成元年9 月26日付けをもってした救済命令のうち、別紙(1 )の団体交渉申入れ事項について団体交渉を命じた部分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを除きこれを二分し、その一を原告の、その余を被告の負担とし、補助参加によって生じたものはこれを二分し、その一を原告の、その余を補助参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
6140 訴の利益
本件団体交渉拒否に係る労委の救済命令の取消訴訟係属中に行われた新団体交渉は、本件団体交渉事項と交渉の内容が異なり、労委命令が命じた団交は行われておらず、本件救済命令を取り消す利益は失われていないとされた例。
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
本件団体交渉事項7号は、全体として支店段階における交渉事項と認めることはできず、同事項についての支店長の団交拒否には正当な理由があるとして、労委命令のうち当該事項につき救済を命じた部分が取り消された例。
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
交渉事項に支店の権限外のものがあっても、権限者と諮り適宜の措置をとることが求められるとの労委の主張が、支店長に交渉権限自体ない場合には、当該措置を義務づけられないとして斥けられた例。
6341 事実認定の誤り
義務的団交事項でなくとも、団交事項整理のための団交を命じうるとの労委の主張につき、不当労働行為に該当するという前提判断に誤りがあれば救済命令は取消を免れないとされた例。
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
本件団体交渉事項8号は、支店段階における団交事項であり、また当該交渉事項中の組合が説明を求める項目についても団交事項であり、さらに、苦情処理制度があること、あるいは二重交渉の回避などは交渉拒否の正当な理由にならないなどとして、同8 号について救済を認めた労委命令に違法はないとされた例。
6140 訴の利益
出向を発令された労働者が復帰したとしても、当該出向についての団交を求める救済の利益が失われたとはいえず、命令発令後の事情の変化は当該判断を左右しないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集28集97頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 44巻2 号 201 頁 
判夕 844 号 145 頁 
労働判例 644 号 52頁 
ジュリスト 渡辺章 1067号 138 頁 
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