事件名 |
帝都自動車交通 |
事件番号 |
東京地裁平成 5年(行ク)第6号
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申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
帝都自動車交通 株式会社 |
判決年月日 |
平成 6年10月14日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が組合員X1が組合執行部に批判的な組合活動を行った
こと等を理由に、同人を昭和60年10月に新橋営業所から渋谷営業所へ配置転換し、さらに昭和61年4月には解雇したことが
不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審東京地労委は、これらの会社の行為は不当労働行為に当たるとして、
(1)X1に対する配置転換及び解雇がなかったものとして取扱い、(2)原職復帰(3)バック・ペイ(ただし、解雇の日から
初審命令交付日までの間は半額控除)を命じた。そして双方申立てによる再審査において、中労委は初審を維持した命令を発した
ところ、会社及びX1は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起し、現在係属中である。中労委は、平成5年2月26
日、東京地裁に本件命令に関する緊急命令申し立てていたが、同地裁は本年10月14日、申立ての一部(バック・ペイのうち、
解雇日から緊急命令申立日前日までの支払部分)を却下した他は認容し、会社に対し、初審命令主文のうち、(1)X1に対する
新橋営業所から渋谷営業所への配置転換及び解雇がなかったものとしての取扱い、(2)新橋営業所(原職)への復帰、平成5年
2月26日(緊急命令申立日)から原職復帰までの間の賃金相当額の支払の部分に従うよう命ずる決定を行った。 |
判決主文 |
1 被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする当庁平成
4年(行ウ)第
189号不当労 働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成元年(不再)第107号、第
109号事件について発した命令によって維持するものとした東京地労委昭和61年(不)第
1号と第37号併合事件について、東京都地方労働委員会がした平成元年 9月19日付 命令のうち、
1被申立人は、申立人補助参加人に対する昭和60年10月22日付け渋谷営業所への配置転換及び昭和61年 4月
4日付け解雇がいずれもなかったものとして取り扱わなければならないこと
2被申立人は、申立人補助参加人を新橋営業所(原職)に復帰させること
3被申立人は、平成 5年
2月26日から申立人補助参加人が原職に復帰するまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならないことを命ずる部分に従わなければならない。
2 申立人のその余の申立てを却下する。
3 申立費用は被申立人の負担とする。 |
判決の要旨 |
7230 必要性の審査
原職復帰について緊急命令を発する必要性があるとされた例
7321 全部認容された例
緊急命令申立ての日から原職復帰までの間のバック・ペイは組合員の生活維持につき回復困難な損害を避け、あるいは組合の団結
権を維持させるために緊急命令を発する必要性が認められるが、解雇日から緊急命令申立て日前日までのバック・ペイについては
緊急命令を発する必要性が認められないとされた例
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集29集440頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1350号 56頁
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