概要情報
事件名 |
東北測量 |
事件番号 |
東京地裁平成 4年(行ウ)第190号
|
原告 |
東北測量 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
全日自労建設一般労働組合青森県本部 |
判決年月日 |
平成 7年 7月20日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、(1)昭和62年12月に支給した「もち代」と称する一時金から組合員の残業時の夕食代を各人の基本給に比例按分して控除したこと、(2)昭和62年12月の「もち代」及び昭和63年7月の「線香代」と称する一時金について組合と協議せず一方的に支給したこと、(3)昭和63年度賃金引き上げ交渉において、具体的資料を提示しない等不誠実な対応をとったことが、それぞれ不当労働行為であるとして申立てのあった事件である。初審青森地労委は、会社に対し、「もち代」から控除した夕食代の比例按分相当額の支払(年6分付加)、賃上げ及び一時金に関する誠意ある団交応諾を命じ、中労委もこれを維持したところ、会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。同地裁は、平成7年7月20日、会社の請求を棄却した。 |
判決主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
本件「もち代」は年末一時金ないし賞与であり、会社が「もち代」の支給額の決定につき、組合員らの同意を得ることなく一方的に未払夕食代と相殺し、組合員に対してのみ「もち代」から未払夕食代を按分比例して差し引いて支給した会社の措置が労組法7条1号の不利益取扱に当たる不当労働行為であるとされた例。
4102 承認・合意
組合員が当該不当労働行為の後に組合員資格を喪失したとしても、当該組合員が積極的に右の権利利益を放棄する旨の意思表示をなし、又は労働組合の救済命令申立を通じて右の権利利益の回復を図る意思のないことを表明しないかぎりそのことによって労働組合の固有の救済利益に消長を来すものではないとされた例。
2901 組合無視
「線香代」も夏期一時金ないし賞与に該当し、会社が「線香代」について支給の有無及び額等を団体交渉を経ることなく一方的に支給したことが組合の存在を無視した労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2211 団交ルールの先議
会社が提示した本件8項目の団交開催条件のうち、4項目は新たな条件提示であるが、会社が敢えて新たに団交条件を提示しなければならない程の具体的必要性はなく、本件団交条件提示が組合に対する不誠実団交であるとされた例。
5008 その他
本件団交が決裂したのは、一方的にX1分会長の発言にあったということはできず、関係書類の不提示等の会社の対応に誠実さが欠けているとの判断の下に、実効性のある団交を実現するために団交応諾命令が発せられたものであるから、本件命令が労委の裁量権を逸脱したものとはいえないとされた例。
|
業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集30集357頁 |
評釈等情報 |
労働判例 682号 51頁 
|