概要情報
事件名 |
石塚証券 |
事件番号 |
東京高裁平成 5年(行コ)第21号
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控訴人 |
中央労働委員会 |
控訴人参加人 |
大阪証券労働組合 |
被控訴人 |
石塚証券 株式会社 |
判決年月日 |
平成 7年 2月22日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)団交の際に、社長が押印して申立人組合に手交した就業内における組合活動保障等に関する回答書を内容とする協定書の作成を、同団交後に拒否したこと、(2)分会長X1に対する損害賠償請求問題についての団交を拒否したこと等が不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。初審大阪地労委は、会社に対し、回答書を内容とする協定書の作成、分会長X1に対する損害賠償請求問題についての団交の実施及びポスト・ノーティスを命じたところ、これを不服として、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、一部文言を改めたほかはこれを維持したところ、会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起した。同地裁は、中労委命令のうち、協定書の作成及びこれに関するポスト・ノーティスを命じた部分を取り消したため、中労委は東京高裁に控訴していたが、同高裁は、中労委の控訴には理由がないとして棄却した。 |
判決主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用は、補助参加によって生じたのを含め、控訴人及び控訴人補助参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2249 その他使用者の態度
長時間にわたる罵声や怒号のなかで進められた団交において、同業他社の協約状況に関する誤解に基づいて行われた会社の回答は、誠実な団交の成果とはいえず、会社が回答書と同内容の協約書の作成を拒否したことには相当な理由があるとして、これを不当労働行為に当たるとした労委の救済命令は違法であるとの理由で取り消した原判決は相当とされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
組合の要求書と会社の回答書は同一内容ではないから、両書面の交換により両当事者間の合意が成立したとはいえず、また、会社の回答書の内容を受諾する旨の組合の意思表示があったことをもっても労働協約が成立したとはいえないから、これに対する会社の解約予告は法律上無意味なものであるとして、当該解約告知が独立して不当労働行為を構成するとした労委の救済命令は違法であるとの理由で取り消した原判決が相当とされた例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集30集68頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 46巻2号 655頁 
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