事件名 |
大久保製壜所 |
事件番号 |
東京地裁昭和59年(行ウ)第53号
|
原告 |
株式会社 大久保製壜所 |
被告 |
東京都地方労働委員会 |
判決年月日 |
平成 1年 6月14日 |
判決区分 |
請求棄却・訴えの却下 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、欠員補充に籍口した副執行委員長3名の配転、新勤
務体制の説明会の際のトラブルを理由とする懲戒処分等が争われた事件で、地労委の一部救済命令を不服として、会社側は行訴を
提起したが、地裁は、退職等の事情変更があった組合員2名に関する部分について訴えを却下し、その余の請求は棄却し
た。 |
判決主文 |
1 被告が、原告を被申立人、被告補助参加人らを申立人とする都労
委昭和51年不第
107号事 件について、昭和59年3月27日付でした命令のうち、次の部分に関する請求につき、本件訴 えを却下する。
(1)命令主文第1項のうち、申立人X1について配転命令の撤回、原職復帰を命じた部分。
(2)命令主文第2項(1)のうち、申立人X1と同X2について出勤停止処分の撤回及び同項 (5)のうち、同人らについて始末書提出命令の撤回をそれぞれ命じた部
分。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
6140 訴の利益
命令の発令後に会社従業員としての身分を喪失したことにより、配転命令の撤回、原職復帰、出勤停止処分の撤回を命じた部分
は、命令の基礎が失われて維持する必要性がなくなったと認められるから、訴えの利益はなく却下されるべきである。
4407 バックペイの支払い方法
4422 その他
懲戒処分がなかったとすれば受けるはずであった諸給与相当額の支払い及びポストノーティスを命じた部分は、退職及び懲戒解雇
によって命令の基礎が失われて維持の必要性がなくなったとはいえないから、効力は失われない。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合の中心者である健常者を他の職場へ配転したことは、組合が活動基盤としている検査課における心身障害者である組合員の組
合活動に打撃を与え、団結意思を喪失させようと認めるほかなく、支配介入に当たる。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員の配転は、人選に合理性をみとめることはできず、調合部門を充実強化する緊急性があったとも認められないから、組合員
であることを嫌悪して行った不利益取扱いである。
1400 制裁処分
勤務体制の実施をめぐる会社とのトラブルを理由に、懲戒処分及び始末書の提出命令は不当労働行為に該当する。
|
業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集24集118頁 |
評釈等情報 |
判例時報 1322号 146頁
労働判例 542号 22頁
労働経済判例速報 1376号 3頁
|