労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  堺市教育委員会 
事件番号  大阪地裁昭和58年(行ウ)第153号 
原告  堺市 
原告  堺市教育委員会 
被告  大阪府地方労働委員会 
被告参加人  堺地域労働組合 
判決年月日  昭和62年12月 3日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、学童保育を行っていた事業所が廃止され、指導員とは雇用関係がなくなった等として団交を拒否したことが争われた事件で、大阪地労委の救済命令(58・12・6)を不服として市及び教育委員会が行訴を提起していたところ、地裁は、教育委員会の請求については訴訟当事者能力を欠くとして却下し、また、市の請求については団交事項の一部につき請求を認め労委命令を一部取り消した。 
判決主文  一 原告堺市教育委員会の本件訴えを却下する。
二 (原告堺市の本件請求に基づき)
 被告が、申立人被告補助参加人、被申立人原告ら間の大阪府地方労働委員会昭和五七年(不)第七〇号事件につき昭和五八年一二月六日付けでした命令主文第一、二項中被申立人堺市教育委員会に関する部分並びに第一項中昭和五八年五月二日付け要求のうち退職金に関する事項以外の事項について申立人との速やかな団体交渉を命じた部分を取り消す。
三 原告堺市のその余の請求を棄却する。
四 訴訟費用は全部原告堺市の負担とする。 
判決の要旨  6150 当事者能力・当事者適格
 教育委員会は、所管事務に関し地方公共団体の長から独立して権限を行使するが、私法上権利義務の主体となる権利能力を有するものではなく、訴訟当事者能力ないし当事者適格を有せず、教育委員会の訴えは不適法として却下する。

4918 自治体
 労組法27条の命令の名宛人たる使用者は、法律上独立した権利義務の帰属主体であることを要するが、教育委員会は法人たる市の構成部分であるので、委員会を名宛人とする部分は実質的には市に対し命令内容の実現を義務付ける趣旨と解するのが相当である。

4918 自治体
 指導員の業務内容が奉仕作業的であり、自由裁量の余地が多いとしても、市と指導員との契約内容、業務、勤務実体等から、指導員は実質において市との間に使用従属関係があると判断するのが相当である。

2400 その他
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
 事業所廃止による解雇の問題は、当該事業所が公的、民主的な手続を経て廃止され、また指導員は職種、期間を限定して選任委嘱されたものであるから、期間満了により被用者的地位を失ったもので、団体交渉の対象とはならない。

2300 賃金・労働時間
 事業所が廃止されても労働者が退職金または類似の金員の支払いを求めている場合は、その限度で従来の労使関係は清算されておらず、退職金の問題に関しては労組法7条2号関係ではなお労働者性を有し、組合は団交権を有する。

業種・規模  地方公務(市町村機関) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集22集476頁 
評釈等情報  判例タイムズ  670号  113頁 
労働判例  508号 17頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地労委昭和57年(不)第70号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和58年12月 6日 決定 
大阪地裁昭和59年(行ク)第2号 一部認容  昭和62年12月 3日 決定