概要情報
事件名 |
男鹿市農業協同組合 |
事件番号 |
秋田地裁平成 1年(行ウ)第1号
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原告 |
男鹿島農業協同組合 |
被告 |
秋田県地方労働委員会 |
被告参加人 |
秋田県農業協同組合労働組合 |
判決年月日 |
平成 2年12月17日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合員X1を組合員であることを理由に課長に昇任させなかったことをめぐって争われた事件で、秋田地労委の救済命令(元・2・15決定)を不服として農協が行訴を提起していたが、秋田地裁は、農協の主張を認め、地労委命令を一部取り消した。 |
判決主文 |
被告が、秋地労委昭和59年(不)第3号男鹿市農業協同組合不当労働行為救済申立事件について、平成元年2月15日付でなした救済命令のうち主文第1項を取り消す。 訴訟費用は、原告と被告との間に生じた分は被告の、参加によって生じた分は補助参加人の各負担とする。 |
判決の要旨 |
1200 降格・不昇格
農協加工課長は、管理職の権限を有しているものの、労組法にいう「利益代表者」には当たらず、機構改革に伴い同人を課長職にしなかったのは、課長職になっても組合員をやめないことを理由とするものであると充分推認できる。
1200 降格・不昇格
管理職ポストに起用しないことが労働者にとって「不利益取扱」であるというためには、その保有条件の下では昇格がほぼ例外なく行われているような特別の事情が必要であり、X1を課長にしなかったことを不利益取扱とするには疑問がある。
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
労働委員会の救済内容の適否について、裁判所は、労働委員会の裁量権を尊重し、その行使が制度の趣旨、目的等照らして是認する範囲を超え、又は濫用にわたると認められない限り、当該命令を違法とすべきではない。
5004 管理職への登用の請求
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
上級職制にどのような人物を充てるかは、使用者の専権に属すべきもので、当該組織体の運営、経営について何らの最終的責任を保有しない第三者機関がポストを指定して企業に命じることは、特別の事情のない限り許されない。
4415 賃金是正を命じた例
5004 管理職への登用の請求
課長職に登用しないことが不当労働行為だとしても、労委は組合員であることを理由として昇格につき差別してはならない旨命じることができるのが限度であり、具体的ポストを指定した昇格命令は人事権を不当に制約するもので是認し得ない。
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
X1を課長職へ任命しなかったことが「不利益取扱」であるとした認定には多分に疑問がある。
6355 その他
課長への昇格を命じたことは、農協の人事権を侵害するものであり、労働委員会としての裁量の範囲を逸脱した違法なものである。
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業種・規模 |
協同組合 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集25集639頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 41巻6号 985頁 
判例時報 1399号 136頁 
判例タイムズ 中路義彦 790号 328頁 
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