労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  亮正会高津中央病院 
事件番号  東京地裁昭和63年(行ウ)第64号 
原告  医療法人社団 亮正会 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合 
被告参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 
被告参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 
判決年月日  平成 2年 6月13日 
判決区分  救済申立棄却命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、病院が(1)パートタイマーの看護助手である組合員X1及びX2の両名に対して契約期間満了を理由に雇用関係を終了させたこと、(2)雇用契約更新に係る団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審神奈川地労委は、これらの行為がいずれも不当労働行為であるとして、(1)両名の原職復帰及びバック・ペイ、(2)復帰に伴う諸問題に関しての団体交渉、(3)両名に対する雇止め及び団体交渉拒否に関するポスト・ノーティスを命じ、中労委も初審命令を維持し、病院の再審査申立てを棄却したところ、病院側がこれを不服として行政訴訟を提起し、東京地裁は命令を全部取り消した。 
判決主文  1 中労委昭和60年(不再)第59号事件について、被告が昭和63年3月2日付けでした命令を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とし、参加費用は被告補助参加人らの負担とする。 
判決の要旨  4102 承認・合意
組合員2名は、新たな個別の契約により原職復帰の状態にあったものということができるから、本件命令中同人らの原職復帰を命ずる部分は、その時点においては救済利益を欠くに至っていたものである。

6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合員2名は、新たな個別の契約により原職復帰の状態にあったものということができるから、本件命令中同人らの原職復帰を命ずる部分は、その時点においては救済利益を欠くに至っていたものであり、違法である。

6351 バックペイからの中間収入控除
組合員2名は、仮処分決定や新たな契約による就労の対価としての賃金相当額の支払を受けていたのであり、本件命令時点では、バックペイ命令をそのまま維持することの必要性は失われていたのであり、これを維持した本件命令は違法である。

6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合員2名は本件命令以前に原職復帰状態にあったものというべきところ、団体交渉の対象となる「労働条件変更」がないことは明らかで、本件命令当時団体交渉についての救済利益は既に失われていたといわざるをえない。

6352 ポスト・ノーティス、文書交付命令
本件命令が違法であってこれを取り消すべきである以上、本件命令中のポスト・ノーティスの補充的、裁量的性格に照らし、これを取り消すのを相当とする。

業種・規模  医療業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集25集406頁 
評釈等情報  判例時報 1358号  142頁 
労働判例  564号 28頁 
労働経済判例速報 1405号 3頁 
労働法律旬報 1246号 65頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和60年(不)第3号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和60年12月13日 決定 
中労委昭和60年(不再)第59号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
東京高裁平成 2年(行コ)第82号 請求の棄却  平成 4年 2月25日 判決 
 
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