概要情報
事件名 |
東京流機製造 |
事件番号 |
東京地裁昭和55年(行ウ)第12号
|
原告 |
東京流機製造 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
総評全国金属労働組合神奈川地方本部 |
被告参加人 |
総評全国金属労働組合神奈川地方本部東京流機製造 |
判決年月日 |
昭和58年 1月20日 |
判決区分 |
請求棄却・訴えの却下 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、(1)労働時間の短縮問題に関し、誠意ある団体交渉を行わず、一方的に実施したこと、(2)組合費のチェック・オフを一方的に廃止する旨通知したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審神奈川地労委は、これを不当労働行為であると認め、51年6月18日救済命令を発し、中労委もこれを支持し、54年12月29日会社の再審査申立てを棄却したものである。 会社は、この命令を不服として行政訴訟を提起したが、東京地裁は、58年1月20日会社の請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2240 説明・説得の程度
団交における会社の対応は、相手方を納得させるに足る充分な説明とは認められず、意見の一致点を見い出す努力を拒否し、会社案を最終案として押しつける態度にでたもので、到底、誠意を尽くした態度であったと認められない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社がチェックオフ合意を一方的に破棄する場合や事実上長期にわたって実施してきたチェックオフを廃止する場合は、これをする合理的な事情のほか、組合に対する相当の配慮を要するが、本件廃止は時期、方法において相当性を欠く。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
労働時間短縮問題についての協議が団交において充分に尽くされたものと認められず、同問題についての誠意ある団交を求める被救済利益が消滅していると認めることはできない。
4200 組合解散・消滅
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
チェックオフ廃止を猶予する旨を表明し、これを実施したことをもって通知の撤回と認めることはできず、通知自体の撤回を求める救済利益は消滅するものではない。
5000 具体的請求の欠除
労委は、救済の内容については、申立人の意思を推測して合理的にこれを解釈し、これに適合する相当な救済命令を出すことができると解すべきところ、本件主文は会社が誠意ある団交を行わないとの救済申立てに対する具体的救済と認められる。
6140 訴の利益
労基法24条は、労働者を保護する目的で規定されたものであり、使用者の法的利益の保障を考慮したための規定ではなく、この規定に反することを理由に本件命令の取消を求めることは、行訴法10条1項により許されない。
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
労委はいかなる救済を与えるかに関して広汎な自由裁量を有しており、申立ての趣旨に反しない限り具体的事件に即して不当労働行為がなかったと同じ状態に回復するための適当な処分を命じ得、本件陳謝文掲示命令は相当な措置である。
4505 その他
労委はいかなる救済を与えるかに関して広汎な自由裁量を有しており、申立ての趣旨に反しない限り具体的事件に即して不当労働行為がなかったと同じ状態に回復するための適当な処分を命じ得、本件陳謝文掲示命令は相当な措置である。
|
業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集18集32頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 34巻1号 31頁 
判例時報 1073号 138頁 
ジュリスト 奥山明良 822号 111頁 
労働判例 岸井貞男 408号 4頁 
|