労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  北辰電機製作所 
事件番号  東京地裁昭和52年(行ウ)第6号 
原告  株式会社 北辰電機製作所 
被告  東京都地方労働委員会 
被告参加人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合 
被告参加人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部 
被告参加人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部他個人18名 
判決年月日  昭和56年10月22日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  組合員に対する昇給、夏季賞与の査定差別及び昇格差別をめぐる事件で、地労委は、組合員19名の夏季賞与の是正差額支給、同11名の昇格差額の支払の一部救済命令(51・12・27)を命じたが使用者側はこれを不服として行訴を提起し、地裁は請求の一部を認め救済命令の一部を取消した。 
判決主文  1 都労委昭和47年不第42号事件について被告が昭和51年12月7日付でした命令は、右命令主 文第2項においてX1を昭和46年6月に遡って主事補に昇格させ同時期より手当、退職金算 出にあたりその資格あるものとして取り扱い差額を支払うことを命じた部分を除き、これを 取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は被告の負担とし、参加によって生じた費用は参加人らの負担とする。 
判決の要旨  6221 不利益取扱い
昇給、昇格等の不利益取扱いを主張するには、個々の組合員の昇給、昇格等が当該集団に属しない者のそれらと差異があること、組合員の勤務の実績・成績が当該集団に属しない者のそれとの間に隔たりのないことを個別に立証する必要がある。

6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
申立人らの昇給、賞与額が低いことをもって集団的に差別されていると推認できなく、各人についても同年卒者と同等の勤務実績や成績をあげどの程度低い査定をされたのかの個別的証拠もなく、昭和46年度の昇給、賞与に関し不利益取扱いは認められない。

6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
昭和31年卒業者で主事補の資格がない者は、申立人ら4名を含む5名のみであるが、これで全体の不利益取扱と推認できなく、4名の内3名は過去3年の昇給査定額も低いこと等から組合活動を理由とする不利益取扱いとは認められない。

6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
昭和32年高卒者で46年6月までに主事補に昇格しなかったのは、申立人ら9名を含む10名のみであるが、組織全体の不利益取扱いと推認できなく、過去の昇格査定も低いこと等から組合活動を理由とする不利益取扱いとは認められない。

1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人支部書記長X1は、過去3年の昇格査定額は中位より低いとはいえ著しく低いものではないこと等からすれば主事補に昇格させなかった会社の行為は、労組法7条1号、3号の不当労働行為に該当する。

6223 支配介入
労組法7条3号の支配介入については使用者が集団を嫌悪していることのほかに、集団に属する組合員の昇給、昇格等が他の集団と比べて差異があることをいわゆる大量観察により立証すれば足り、使用者が差異が合理的理由に基づくことを立証しないかぎり、不当労働行為と推認するのが相当である。そのためには特定集団との対象すべき集団との間において、勤務の実績ないし成績が全体的にみて隔たりなく均一性を有することが前提となるべきである。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
労委は、申立人の請求する救済の内容を自己の裁量で救済命令の内容を決定することができ、昭和45年6月に遡って主事補の昇格を求める申立に対し、労委が46年6月に遡って昇格させることを命じた労委命令に違法はない。

6330 審査手続の違法
組合は労委の調査及び審問において申立書及び準備書面をもって事実の主張立証を行っており、会社は反証の機会が与えられたと認められ、申立人の主張のない事実を認定し、会社の防御権を奪ったとする手続違背は存在しない。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集17集209頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 32巻5号  674頁 
ジュリスト 山川隆一  784号 139頁 
別冊ジュリスト労働判例百選(第6版) 岸井貞男  222頁 
労働判例 山本吉人  375号 35頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委昭和47年(不)第42号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和51年12月 7日 決定 
東京地裁昭和52年(行ク)第37号 全部認容  昭和52年 5月19日 決定 
東京地裁昭和56年(行ク)第98号 一部認容  昭和56年10月30日 決定 
 
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