事件名 |
北九州市 |
事件番号 |
福岡高裁昭和52年(行コ)第18号
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控訴人 |
北九州市 |
被控訴人 |
福岡県地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
北九州市交通局労働組合 |
判決年月日 |
昭和55年10月22日 |
判決区分 |
一審判決の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
超勤拒否などを理由とする組合幹部らの停職等をめぐって争われた事
件で、地労委の救済命令(47・ 4・26)を不服として使用者側から行訴が提起され、地裁の棄却命令(52・11・18)
に対して控訴していたが、高裁は原判決を取消した。 |
判決主文 |
原判決を取消す。
被控訴人が、福岡労委昭和42年(不)第26号不当労働行為救済申立事件について、同47年4月26日付でした「北九州市交
通事業管理者交通局長Y1は、同42年8月2日付で行ったX1、X2、X3に対する停職6カ月、X4、X5、X6、X7、
X8に対する停職3カ月、X9、X10、X11、X12に対する停職1カ月、X13に対する戒告の各懲戒処分を取消し、同人
らに対する賃金及び処遇面において、上記の懲戒処分がなかったのと同様の状態に回復しなければならない。」旨の命令を取消
す。
訴訟費用は第1、2審とも被控訴人及び参加人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
0417 法令・協約・信義則違反
地方公営企業における超勤拒否闘争は、超勤の恒常化の下で市の財政再建計画に関する組合要求を貫徹手段として、市の業務の正
常な運営を阻害するためにしたものであって、争議行為に該当する。
0414 ピケッティング
地方公営企業におけるピケは、争議行為の適法性を前提とし、争議権保障の範囲内で許されるものであって、地公労法により争議
行為が禁止されている以上、本件ピケは正当な組合活動ということはできない。
0411 怠業
地方公営企業における安全点検闘争は、単に交通安全配慮の仕業点検ではなく、組合の要求貫徹の手段としてなすものであるか
ら、業務の正常な運営を阻害する行為に該当する。
0417 法令・協約・信義則違反
地方公営企業における年次有給休暇闘争は、組合の指令に基づき組合員全員が一斉に職場を離脱し、業務の正常な運営の阻害を
狙った同盟罷業ということができ、争議行為に該当する。
1400 制裁処分
地方公営企業における超勤拒否闘争、ピケ、安全点検闘争、年次有給休暇闘争は、地公労法及び市就業規則に違反するものである
から、同闘争を企画、指導、実行させた組合幹部に対する停職等の処分は不当労働行為に該当しない。
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
地方公営企業における超勤拒否闘争、ピケ、安全点検闘争、年次有給休暇闘争を企画、指導、実行させた組合幹部に対する停職等
の処分を不当労働行為に当たるとした労委命令は違法として取り消す。
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業種・規模 |
地方公務(市町村機関) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集16集679頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 31巻 5号 1033頁
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