手作り工芸町屋構想に基づく工芸技術者育成と
工芸工房の地域内集積による雇用機会創出と観光拠点構築事業
(1)地域:沖縄県浦添市
(2)地域の現状
浦添市は那覇市の北に位置しており、県内で4番目に人口が多く那覇市のベッドタウン的性格が強い都市である。IT特区としてデジタル産業の集積を進めている一方、市内企業は卸売・小売・飲食店が多く、かつ小規模の事業所が多い。観光産業も那覇空港には近いものの、観光客の多くが通過するのみとなっている。
沖縄の織物は、全国的に着物の需要が回復しない中、県内の織物事業者数、従事者数等が回復傾向にあるなど需要を伸ばしている。浦添市では、沖縄の伝統工芸である絹織物や漆工芸等の職人の手仕事によるものづくりの集積をめざす「手作り工芸町屋」の形成を検討しており、作り手の顔が確認できる伝統工芸品やクラフト製品の集積を目指している。
(3)地域で行っている取組
[1]ものづくり産業支援関連事業
織物業を支える織子や沖縄の伝統工芸をビジネス化するのに必要とされる人材を中心に、起業支援、組合立ち上げ支援を実施する。工芸品の工房の誘致、工房の設立にあたって資金面等での支援、観光客向けのものづくり体験事業を実施する。
[2]養蚕農家育成関連事業
沖縄の伝統的織物産業の伸びとともに需要が高まりつつある繭の生産と健康食品の原料として見直されつつある桑栽培を手がける農家とそれに必要な人材の育成を実施する。
[3]地域雇用創造バックアップ事業の活用
地域雇用創造調査研究事業を活用し、「養蚕事業を軸とした浦添市特産品開発を通じた雇用の創出についての調査研究」を実施した。
[4]地域創業助成金の活用
食料品製造業、窯業・土石製品製造業、各種商品小売業を地域重点分野に設定し、助成対象としている。
(4)課題
・工芸クラフト品について、生産した商品を販売し、東京を中心に売れる商品を販売するためのマーケティングを理解し、工芸業界に精通した人材を育成することが課題となっている。
(5)パッケージ事業での取組
[1]絹織物織子育成事業
絹織物産業を支える織子の育成を目的とし、浦添市とも関連の深い「首里花織」の実技と講義からなる初級講座と中級講座を実施し、糸より、染め、織りと一貫した技術の習得とともに、求められるデザイン、マネジメント等についても学ぶ。
[2]手作り工芸産業事業化支援人材養成事業
沖縄の伝統工芸をビジネス化するための講座を開催する。ファッション関係者、マーケティング専門家を講師として、東京等で通用する商品作り、販売展開ができる人材を育成する。併せて、ネット販売等インターネット活用の知識も習得する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
工芸産業の課題である人材育成とマーケティングを克服することでビジネス機能の強化と雇用の創出が図られる。また、工芸産業が種類が多く、最初に絹織物工芸でビジネスモデルの構築を行うことで、漆工芸、ガラス工芸等の事業へ応用し、手作り工芸事業者の集積が図られる。これらの取組は地元に根ざした事業であることから、地域の活性化につながり、持続的な雇用の創出が見込まれる。