「四万十川のみなも水面に輝く観光のまちづくり」による雇用機会の創出
(１)地域 ：高知県四万十市中村地域
(２)地域の現状
四万十市中村地域は山、川、海の美しい自然と温暖な気候に恵まれた町である。四万十川を中心に地域資源に富み、観光資源を生かした観光産業の発展に取り組んでいる。
しかし、観光客のニーズが観るだけの観光から体験する体験型観光へと変化する中で、「四万十川」という既存イメージだけに頼った地域振興には限界が生じ、観光産業の停滞が生じている。また、観光産業においては雇用の場が少なく、かつ繁忙期にだけ雇われる非常勤者が多いなど、地域の活性化にとって非常に重要な問題となっている。
さらに、雇用情勢をみると、有効求人倍率が全国と比較して低い高知県内の中でも最も低くなっている。
(３)地域で行っている取組
[1]幡多広域観光協議会の公社化
７市町村と観光協会で協議会を構成し、修学旅行・一般観光客の誘致宣伝活動、受け入れ体制の整備等の観光の振興と地域の活性化に取り組んでいる。協議会を公社化することで、修学旅行生の誘致活動を高め、観光の振興と地域の活性化に取り組む体制を整えている。
[2]観光遊覧船の一元化
８業者による四万十川の遊覧船事業を一元化することで、メニューや乗り場の連携を図り、利用者の利便性を向上させ、客数の増加と観光産業の発展を目指す。現在、四万十川観光遊覧船連絡協議会を立ち上げて研究や協議を重ねている。
[3]ふるさと中村応援隊事業の構築に向けて
県内外に在住する市出身者のリストデータを活用し、まちづくりに取り組むＴＭＯ（まちづくり四万十（株））と市出身者間の双方向性を持たせた会員ネットワークを構築する。情報交換することで商店街の活性化、産業の発展を図る。
[4]観光情報発信事業
観光パンフレット、観光案内板の整備による観光情報の提供、集客を目的としたイベントの開催、ＰＲ、観光客誘致促進事業等を実施することで観光メニューを充実させる。
[5]地域創業助成金の活用
観光産業活性化分野を地域重点分野に設定し、食品製造業、飲食料品小売業、一般飲食店を助成対象としている。
(４)課題
・地域で働きたいという優秀な人材を確保するためのＵＩＪターン希望者に対する情報提供が不足している。
(５)パッケージ事業での取組
[1]雇用創出支援事業
インターネットを使った商品販売、ＨＰ開設運営等についてのセミナーを行い、地域内商工業者及び求職者のスキルアップを図る。
[2]能力開発事業
先進地への視察研修や講習会を開催し、観光業での中核的人材を育成する。
高齢者介助に対応できる観光サービス従事者の育成や、郷土料理を提供できる旅館等を増やすための講習等、観光関連従事者のレベルアップを図る研修を実施する。
[3]情報発信事業
都市部で開催している産業フェアに参加し、ＵＩＪターン者募集フェアを実施することで、地域における優秀な人材の確保を図る。
ホームページや雇用関連情報冊子を作成し、求人情報の提供やセミナー、研修会を周知するとともに、ＵＩＪターン者に必要な情報、相談等を提供する。
(６)パッケージ事業実施による将来像
雇用機会の創出、地域の活性化を目指して以上の事業に取り組むことにより、雇用に関しては事業の中核となる人材、各分野の専門能力の高い人材の育成または確保が可能となる。地域の活性化という点では、現在６７万人の入込み客数を３年間でピーク時と同じ８２万人にする目標も設定しており、観光入込み客数の増加と観光産業の発展を図ることが可能となる。
