観光まちづくり人材育成「はつかいちのお店「みやじま」マーケット拡大、
めざせ観光入込客300万人」雇用創出地域活性化計画
(1)地域 :広島県廿日市市
(2)地域の現状
広島県西部地域の拠点都市、日本三景の宮島を有する廿日市市は、古くから山陽道の要衝の地として栄え、木工業の地として栄えてきた。しかしながら、近年においては広島市に隣接していることから広島市のベッドタウンとなり、市内就業率が県内でも極めて低い状況となっている。
そこで、市内の雇用状況を改善し、地域の活性化を図るため、観光連携の産業振興に着目し、宮島訪問観光客を対象とした観光連携の産業振興・人材活用により雇用創出・拡大を目指そうとしている。
(3)地域で行っている取組
[1]観光振興事業
廿日市市観光まちづくり懇話会において、宮島を核とした観光施策の確立を目的として、平成20年度の達成目標として[1]「温かいおもてなしの島として、入込観光客300万人をめざす。」を始め、[2]夜間のライトアップ、ナイトツアー、夜間遊覧船等による滞在時間延長、[3]宿泊者数増加、[4]外国人観光客増加の4つを挙げ、アクションプランを開始している。
[2]木工業振興事業
中小企業支援を目的とした財団法人により、中小木工業事業者の協同組合設立の支援、木工品の新商品開発、木工品普及、伝統的木工品産業継承に取り組んでいる。また、伝統的工芸品「宮島細工」の業種組合に補助金を交付するとともに、宮島伝統産業会館を設置し、販売促進事業、後継者育成事業を実施している。
[3]商工業活性化事業
商工業活性化を目的として、商工団体を活用した商工業振興事業を展開している。商店街を中心とした地域の非営業店舗の把握、情報の公開、各地域の特徴を活かした手みやげの開発、起業家の育成事業、飲食店紹介事業等の商業活性化を実施している。
[4]中小企業融資事業
中小企業の経営安定、高度化を目的として、融資制度を実施している。
[5]地域創業助成金の活用
飲食料品小売業、その他の小売業、一般飲食店を地域重点分野に設定し助成対象としている。
[6]地域雇用創造バックアップ事業の活用
地域雇用創造調査研究事業を活用し、宮島等の観光資源を活用した雇用創造の方策を検討した上で、パッケージ事業の事業構想を構築した。
(4)課題
・「宮島細工」、「宮島杓子」「はつかいちけん玉」等、伝統的工芸品や小木工品が多く存在するものの、後継者不足・不在の状況となっており、ユニバーサルデザインをはじめとしたニューコンセプトのデザイン能力を有する後継者育成が必要となっている。
・市内在住者の市外での就業率が高くなっており、今後発生する団塊の世代が定年退職した後、地域で雇用の場を確保する必要がある。特に、「みやじま」という地域資源を有効活用し、外国人、高年齢者をはじめとするニーズに応え、必要なサービスを提供する人材を育成することが必要となっている。
(5)パッケージ事業での取組
[1]観光プロモーション人材育成事業
外国人観光客に対するホスピタリティ、コミュニケーション能力の習得を目的とした研修等や観光業界で重視される傾向にある個人客に対応できる相手の目線にたった「おもてなし」を実践できる人材を育成する。
[2]観光ビジネス人材育成事業
「みやじま」の新しい観光事業として外国人観光訪問客へのインフォメーションや要介護者に対するガイドヘルプサービス等共同経営や新分野でのビジネスモデルをはじめとする市民の起業を支援する研修を行う。また、創業希望者に対して、創業に必要な実務研修と併せて、地場産品販売や夜間営業飲食店等の研修店舗での実地研修を実施する。
[3]観光コラボレーション人材育成事業
個人客や修学旅行生を対象にした体験観光メニューに対応する人材を育成する。また、手焼き「もみじ饅頭」、伝統的木工の体験等伝統産業をはじめとする地場産業の観光ビジネスの中核人材を育成する。その他、みやじま観光に特化したガイドヘルパーを養成する。
また、伝統的工芸品や小木工品について、彫刻、木工ロクロを中心とした木加工技術の担い手を育成するため、木加工技術者養成訓練を実施し、必要に応じ先進地での研修を行う。
[4]はつかいちみやじま観光関連おしごと情報センター事業
集客性の高い大規模小売店舗内に「はつかいちみやじま観光関連おしごと情報センター」を設置し、「みやじま」観光に特化した求職者への情報提供・相談、観光関連求人情報の掘り起こし、創業希望者への事前相談等を行う。
(6)パッケージ事業実施による将来像
本事業による観光・木工品に着目した人材育成と、市や関係団体における産業・観光振興施策が相まって、産業振興・雇用創出が効果的に推進され、地域の活性化及び市民の雇用の安定が図られるものと期待される。