浜田再生を担うひと創り
―水産業・地元食・矯正施設を柱とした雇用創造―
(1)地域 :島根県浜田市
(2)地域の現状
浜田市は島根県西部に位置する地方都市であり、平成17年浜田市、金城町、旭町、弥栄町、三隅町の5市町村が合併し、新浜田市として新たなスタートを切ったところである。基幹産業は水産業であり、水産加工業も含め水産関係が地域に与える経済効果は大きく、水産業の活性化がそのまま地域の活性化に繋がると考えられている。
また、浜田市では、山間部は農業が特化しており海産物の一夜干し、わさび葉寿司、大型ぶどう(ピオーネ)を始め特産物が豊富であるが、多くは1次産品の段階にとどまっており、地元食として地域産業の活性化のために活かしきれていないという状況になっている。
さらに、市内に矯正施設の設置が決定しており、「地域と矯正施設の共生」も地域の主要テーマの1つとなっている。
(3)地域で行っている取組
[1]どんちっちブランドの推進
浜田を代表するアジ、ノドグロ、カレイの3魚を「どんちっちブランド」として全国発信しており、「どんちっちブランド」加工品の普及のため市場調査活動、リーフレット作成等の販売促進活動、「どんちっち取扱い料理店」を認証してのPR等を実施している。
[2]地元食の効果的活用
浜田の5地域の産品を使って、「柿酢のどくろ鮨」など地域ブランドを一体化した商品開発や、市内で採れた米・野菜等を使った食事の提供、特産品センターの魚食普及の中核施設としての再整備等を行っている。
[3]地域と矯正施設の共生
矯正施設の社会的意義等の啓発を図るための協議会の設立、施設の建設・運営にあたって施設運営主体からの地元産業界に要請がある場合に備えた受け皿組織の結成及び助成等を実施している。
[4]自然体験型観光推進事業
海の楽しさやすばらしさを知ってもらうことで地域の活性化と若者の定住を図ることを目的として、ライフセイバー競技大会やマリンレジャー体験大会等を実施している。
[5]観光産業振興事業、浜田市広島PRセンター運営事業
浜田地区ふるさと市町村圏振興計画等に基づき、広域観光ネットワークの強化による滞在型の観光の推進や、合併後の観光推進体制に取り組んでいる。「観光ガイドブック」の作成・配布、観光協会への補助等を行っている。
(4)課題
[1]魅力ある水産業活性化による雇用創出
・水産加工企業のイメージが就労先として芳しくないことにより、求人に対する地域の求職者の反応は乏しく、水産加工業の担い手を地域で養成することが必要となっている。
・水産業における新事業を企画・コーディネートできる人材・ノウハウが不足している。
[2]地元食の効果的活用による雇用創出
・大都市または市内市場に対しての販売効果が十分ではなく、マーケティングノウハウを有した人材が不足している。
・顧客を感動させる接遇術を有した人材が不足している。
[3]地域と矯正施設の共生による雇用創出
・地域求職者及びUIターン希望者に対する機動的・能動的な情報提供体制を構築する必要がある。
(5)パッケージ事業での取組
[1]魅力ある水産業活性化による雇用創出プラン
意欲ある水産加工企業を対象として、専門講師による高付加価値化や労務管理改善に関する講習会、先進地域及び中央市場への派遣研修等を実施し、水産加工業の経営革新における指導的人材を育成する。
求職者を対象として講義と技術実習及び実際の職場体験得実習を組み合わせた実務講座を開催する。また、水産加工企業の人事・労務担当者等を対象として、専門講師による講習、指導等を行う。
専門講師による起業ノウハウのセミナーや実地体験研修を含めた講習及び先進地派遣を通じて、新しい水産ビジネスや地域特性を活かした起業を企画・実現していく人材を育成する。
[2]地元食の効果的活用による雇用創出プラン
地元食材を活かした料理人を育成し、顧客満足型の地元食を提供できる人材を育成する。また、消費者ニーズにあった商品をマーケティングできる人材、顧客感動型のサービスを提供できる人材を育成する。
[3]地域と矯正施設の共生による雇用創出プラン
矯正施設関係の地域雇用を拡大するために、地元定住を希望する地域若年層を主な対象として、警備員その他関連業務で発生が予想される雇用需要に即応した講習、訓練及び研修を実施し、矯正施設関係へ就職し地域を支える人材を育成する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
浜田市では基幹産業である水産業の再生が地域に与える影響は大きいと考えられ、地域での鮮魚ブランド化等の取組に加えてパッケージ事業で必要な人材が育成されることで水産業及び水産加工業の活性化が図られる。また、地元食の活用や新たに設置される矯正施設で地域求職者が雇用されることも地域と矯正施設との共生につながる。