地域資源(森林・温泉・食農)を活かした健康増進型の観光による地域再生
(1)地域 :長野県飯山市
(2)地域の現状
長野県の最北部に位置する飯山市は、厳しい豪雪地域であり、過疎化に悩まされているが、観光業と農業を主力産業として雇用を維持してきた。しかし、若者のスキー離れによりスキーの入込客数はピーク時の半分に落ち込み、農業においても厳しい自由化にさらされ、農家数は減少している。また、公共事業も年々減り、特に建設業ではリストラが続いている。その対策として、積極的に美しい自然を活かした「グリーン・ツーリズム事業」を推進し、一定の成果を上げているが、全国各地に広がる傾向であり、独自性を打ち出さなければ今後伸び悩むことが予想される。
(3)地域で行っている取組
[1]誘客に係る事業
旅行企画(グリーン・ツーリズム、修学旅行等)を広めるため、旅行代理店、学校等への営業活動、観光情報発信、PRイベントの開催等を行っている。
[2]誘客の支援に係る事業
スキー振興策等を行い観光での誘客を支援している。
[3]健康増進型のプログラムの構築及び推進事業
社会のニーズに対応し、地域の資源を活用した、健康増進型のプログラム(森林での運動療法、温泉療法、食事療法)を構築し、また、このプログラムを取り入れて観光人口の市場調査も実施している。
[4]創業者への支援に係る事業
先導的な事業を創造する際に補助金等により支援するほか、創業者へのノウハウの提供、そのためのセミナー・研修会等の開催を行っている。
(4)課題
[1]専門的知識を有した、中核となる人材の不足
地域資源を活用した健康増進プログラムは「運動療法」、「温泉療法」、「食事療法」の専門的な知識が必要であるが、市内には、その知識を持ち中核となって推進する人物がいない。
[2]研修会等の機会の欠如
事業推進にあたって専門的知識や技術を持った人材の雇用が求められるが、それを習得する研修会等の場がない。また、市外で行う研修会に参加をする場合の支援がなく、習得する機会を失い雇用に結びつかない。
[3]情報提供や相談の場の欠如
新しい分野の事業のため求職者にとって不安も多いが、その不安を解消するための情報提供や相談会がない。
(5)パッケージ事業での取組
[1]専門的・中核的人材の誘致事業
既に構築された「運動療法」、「温泉療法」、「食事療法」のプログラム提供ができる専門的知識を持った人材を派遣し、その養成と普及を図る。
[2]創業者養成支援事業
「運動療法」、「温泉療法」、「食事療法」の各セミナーの開催等により技能修得を支援する。
[3]情報提供・相談会開催事業
求人や事業内容の情報提供をするためのホームページを作成する。求職者のための相談会を開催する。
(6)パッケージ事業実施による将来像
近年、健康は注目を集めており、健康を独自性として打ち出した観光事業により、集客数を高め地域再生が図られると考えられる。さらに、健康増進型プログラムの提供のための専門知識を有する人材を確保・育成することにより、地域における雇用の増加も見込まれる。